顔にモブと書かれていたのだが泣くぞ？？【忍たま】 (ページ12)

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天使にしか見えないページ12

『はっ、はっ。』

よく廊下は走っちゃ駄目と言うが、別に皆が私を避けるのでお構いなく全力疾走する。

時々、上級生が私を呼び止めるが全力でフル無視した。

すると、ずっと走っていれば目的地が見えてきて。

私は更にスピードを上げた。

さっき学園長が去り際に言ったあの言葉。

【そうそう、実は天女様がもう1人、貴方が来る数刻前に来たんですよ。】

【それは．．．？】

【確か名前は．．．】

やっと目的地に着いて、息を思いっきり吸う。

そのまま全部の息を吐き出す勢いで叫んだ。

『松村さんッ！！』

その柔らかなサラサラの髪が揺れて、こちらを見たその綺麗な瞳が揺れて。

溢れ出る善人オーラが、全てが松村瑠璃さんで。

私は言葉に出来ない程の嬉しさを覚えた。

「えっ、A．．．さん？な、んでここに．．．」

『松村さんも！まさか居るとは思わなかった！』

ニコニコと嬉しさを全身で表現しながら松村さんの元に駆け寄る。

まだ現状を理解しきれていないのかポカン顔だ。

『松村さんはここで働くの？私はいま学園長とゲームしててね！そういえばヘムヘム見た？二足歩行しててビックリしたよね！でも可愛かったなぁ。後でモフれないかお願いしてみようかな？松村さんも．．．』

つい嬉しくてペラペラと話していれば、松村さんの顔を見た瞬間に達者な口も閉じる。

パッチリとした大きな瞳は不安げに揺れていて、薄い膜が張っていた。

「わっ、私ね．．．帰り道に、いきなりここに落ちたの．．．」

『．．．私は神社にお参りしたら。』

「訳も分からず、ここに連れて来られて．．．」

『説明もなしにね。』

「何も言えずに、勝手に決められて．．．」

『ほんと有り得ないよね。』

「知らない人ばっかで、1人ぼっちで．．．」

『今は私が居るよ。』

「不安で．．．」

遂に松村さんの目から涙が溢れ出た。