□□ ページ16
.
「ごめん・・・寝ちゃってて」
開けたら、強い雨に少し降られてしまったのか、前髪に雫が付いたまま、
「よかった。居て」
って安心したみたいにため息をついた。
「どうする？なんか顔面蒼白だけど、外出る？」
櫻井は「待つのは構わないから」って目線を落としながら聞いてくれた。
寝起きで、頭が回っていないのもあるけれど、それ以上にこの寒い雨の中、頭痛とムカつきを押し込めて
食事に行く気にはとても慣れなかった。
だから、後ろめたい気持ちももちろんあったけれど、話しを聞きたいその内容が、保留にしてしまったら余計に気分が悪くなりそうで
早く問いただしたい気持ちが圧倒的に勝ってしまった。
「悪いけど、ちょっと外出るのキツいから・・・食べるものないけど家でもいい？」
正直にそう言えば、櫻井はなんだかショックを受けたような顔をして、
「広瀬がいいなら、お邪魔します」
って玄関で靴を脱いだ。
「ごめんね、全く気が付かなかった。雨降ってきたのも分かんなかった」
そう言って部屋の暖房を付けたら、棚からバスタオルを出して櫻井に差し出した。
よく見たら、髪だけじゃなくて、鞄も上着も濡れている。
「やっぱ、妊娠してるの」
私のバスタオルを受け取ったらサンキュと言って顔と頭を拭きながら、その顔を隠しながら、そう聞いてきた。
目を丸くして顔を上げる。
バスタオルから顔を出した櫻井の目が、憂いを帯びていて、私を不安にさせる。
違う。
悲しいことなんかじゃないの。
不安があるのは当たり前でしょう。
そう思ったけど目頭がつんと熱くなって、慌てて後ろを向いた。
「寒いよね、コーヒー、飲む？」
そう聞いてから、私はあれだけ飲んでいたコーヒーをもう飲めないことに気が付いて、
一瞬だけ手をすくめた。
そんな目で見ないでほしい。
少なくとも、今日は尋問なんだから。
私は怒っているんだから。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 362人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らんまる(プロフ) - ニノさん、怖い。星崎さんとニノさんは夫婦？深雪ちゃんは不倫相手？乙武ってんなよー(笑)深雪ちゃんはイイ子だから幸せになってね。 (2016年3月24日 0時) (
レス) id: 5d10617f7a (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - 初めまして☆こちらのお話と出会ってから、モアモアさん中毒です。やっとこ追いつきました！二宮さんが怖いっ。またお邪魔させてくださいね。 (2016年3月23日 18時) (レス) id: 3c453ca5ef (このIDを非表示/違反報告)
モアモア(プロフ) - あちゅさん» 直球で褒められると嬉しくて小躍りしちゃいます！続きをより気になる感じにしておいたのでまた読んでいただければ幸いですｗ (2016年3月23日 15時) (レス) id: c38d8223fc (このIDを非表示/違反報告)
モアモア(プロフ) - らんまるさん» こんにちは！色々当初の予定から脱線したりしなかったりでお送りしてます。母は強しな部分と不安定な部分が入り混じっているのを感じてもらえたらと勤めてます（たぶんｗ (2016年3月23日 15時) (レス) id: c38d8223fc (このIDを非表示/違反報告)
あちゅ(プロフ) - 文章力が素晴らしい。続きも気になるし、小説化してほしいレベルです。広瀬ちゃん最後の違和感はなんだ、、きになるっ！ (2016年3月23日 1時) (レス) id: 20ee91554b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：モアモア
| 作成日時：2016年2月9日 12時
