元猿、教祖を殴るまで。【呪術廻戦】

（10）ゴリラと教祖サマ ページ10

《過去Aside》




食った。



目の前で、初めて私と同じものを食っている人を見た。



食った、食った食った、……食った！！








『食ったァァァァ！！！』








あのクソまずいのを知ってるのは私だけだと思ってたのに。



いた、他にもいた、自分で食っておいて何だが、



よくあんなもんを食おうという思考に至るよな。



軽蔑も兼ねての、食っただった。



叔母さんに連れてこられて、トイレ行こうとしたら、



偶然叔母さんが教祖サマにお金を巻き上げられてるところに、



遭遇しただけなのに。



すると、顔色を変えた、叔母さんのいう教祖様が、



一瞬で作り笑いになった。







「本条 伊根さん、別室に行きませんか？



本条さんと、本条さんのそちらのご家族は、



他の信者さんとは、生まれた星元が違ったようです。



どうやら私たちと同じようだ」



「そ、それは、私達が選ばれしものだと…！！」



「えぇえぇ、ぜひこちらへ」



『待ってエセ教祖』






そう言うと、教祖は少し目を見開いて、こっちを見た。



君がなにを食べてるのかとか、詳しく教えてあげるよ。



そう言って、彼は先に部屋を出ていった。



私、叔母さんを連れ返すためについてきたのに。



入ってきたところを見れば、ゴリラのようなガタイの男が2名、



ドアの前に立ち塞がっていた。



…無理だ、逃げられない。



仕方なく、目の色を変えて、教祖についていった叔母に続いた。







「この世界には、2種類の人間がいるんだ。



猿か、呪術師か、その二択だ」



『…なんですか呪術師って。



私叔母さんとは違うんで、ヘンテコな論理に納得はしませんよ。



正論とか1番キライです』



「でも君、コレが見えるんだろう？」



『…あぁそれ。クソまずいですよね』







そう言うと、偉そうに連れてこられた、



広い和室のど真ん中で寛いでいた教祖が、



ギョッとして立ち上がり、私に走り寄ってきた。

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