【10】後輩くん ページ10
『!?』
「はじめまして先輩。灰原がご迷惑をおかけしました」
「七海強い〜」
『…イケメンだあぁあ!』
そう言うと端正な顔の金髪くんの顔面が崩壊した。
ですよね!!と乗ってきてくれる灰原くん。
…やばいやばい、超イケメンじゃないですか。
「…やめて下さい、まだ死にたくないです」
『…いや、私人殺さなぃ…』
そう言いかけて、いや殺したな、と思い直す。
口を噤んだ私を見て、七海くんが、五条さんの、と言った。
「…五条さんの好きな人に手を出したなんて、
思われたくないですから」
『…あぁいや、顔が好きってだけで、
別に性格まで良いと思うなんて、
微塵も言ってませんから安心して下さい』
「…わぉ、犬甘先輩ドギツい事言う……」
ぎこちない笑顔で、私を見た灰原くん。
そうか、そりゃ誘拐された当主の名前くらい知ってるか。
…でも私は苗字が嫌いなんだ。
五条くんたちは最初から名前で読んでくれたから、
わざわざ訂正する必要もなかったんだけどなぁ…。
『A』
「…え?」
『Aでいいよ、嫌いなの、苗字』
「…じゃあA先輩」
「灰原、あんまり仲良くなると五条さんに殺されますよ」
『酷いなぁ七海くん』
冗談ぽく、灰原くんを諭した七海くん。
多分五条くん関係なく、先輩に対して失礼に当たるからと、
そういう意味でいってくれたんだろう。
そんな七海くんを見て、ケタケタと笑い出してしまった。
瞬間、灰原くんの顔がサッと赤く染まった。
…お?
…おおーやばい、五条くんと同じ反応をされている。
…と、いうことは?
危機を感じた私は、じゃあ、授業行くね、と二人に背を向けた。
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作者名:まる | 作成日時:2024年1月26日 7時