【7】4人でしょ ページ7
「誘った側がお金出させるわけないだろう?」
『…え?』
「要は俺と傑が奢るっつってんの」
『えっ、いやいやいやいや、申し訳ないですよ
初対面でまだ3時間とかですよ?
そんなやつに奢ってもらうなんて』
「いんや、夜蛾センがAの実力わかってて、
意味無く俺達を付き添わせるわけ無いでしょ。
しかもよりによって場所原宿だし」
「私達がいつも遊んでる場所だね」
「そうそう。夜蛾センは遊んでこいって言いたいんだよ。
…ったく、本当に回りくどいな夜蛾セン」
『…本当に、いいんですか?』
変な顔をして天を仰いだ二人に聞けば、笑顔で頷かれた。
五条くんが携帯を取り出して、どこかに電話を掛け始める。
それを見てあっけにとられた私に、夏油くんが笑って口を開いた。
「折角だし、4人で遊ぼうよ」
『…あ、家入さん』
「そうそう」
なるほど。
夏油くんの言う通り3コールほど経てば、五条くんが声を出した。
「硝子、今暇?どこいる?
…あ、そう。じゃあ原宿来いよ、折角だし4人で行こうぜ
…あーい」
五条くんはものの10秒ほどで電話を切って、こっちに向き直った。
「30分で来るって」
「じゃあ3人で、なんか暇潰しておこうか」
「俺甘いもの食べたい」
「私も食べたい、座れる場所がいいな」
「Aは?」
『?』
「なんか食いたいもの。ねーの?」
『…んー、甘いものですかね…』
そう渋った私を見て、
五条くんと夏油くんが顔を見合わせて笑った。
「良かった、
いらないですとか言われたらどうしようかと思った」
五条くんのボソッと溢したその言葉に、
私の余所余所しい態度は逆に失礼だ、ということに気付く。
…完全拒否は、やめよう。
安心したように、カラッと笑った五条くんを見て、
そんな事を思った。
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作者名:まる | 作成日時:2024年1月26日 7時