【21】普通は逆 ページ21
『んーん、今日は平気かな』
「眠くなったら言えよ、肩貸すから」
『ん、ありがと』
端とはいえ、手すりとかにもたれかかれば首をやりそうだ。
ありがたい、と、とりあえずお礼を言った。
お互い疲れてるがゆえに、沈黙が流れる。
まだあと15駅もあるよ、と悟くんに言おうとすれば、
肩貸すといった本人が、船を漕ぎだしていた。
ウトウトして、ハッとしてを繰り返す悟くん。
思わず小声で吹き出した。
悟くんが、目が覚めたようにこっちを見る。
…と思ったが、やっぱり目は眠たげだった。
『眠いの?』
そう聞けば、困り眉に耳の縁が赤くなった悟くんがこくんと頷いた。
可愛いなぁ、と普段は思わないことを思い、
肩貸そうか?と柄にもないことをいう。
悟くんは、私に返事はせず、私の肩にもたれかかってきた。
すると、ものの10秒ですぅすぅという寝息が聞こえてくる。
肩に重みがあって、ゆっくりな呼吸を首元に感じた。
暖かいな、悟くん。
髪の毛が若干サワサワする、と少し顔を見ようとして、
サングラスがそのままなことに気付く。
私はサングラスをひょい、と取って、自分の服の首元に掛けた。
そのまま、悟くんが起きないように、
私はそっと本を取り出して読み始めた。
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作者名:まる | 作成日時:2024年1月26日 7時