【20】彼氏欲しいな ページ20
「立候補する」
『あ、いや、そうじゃなくて』
「んだよ。
…どうしたんだよいきなり、彼氏欲しいなんて」
『…いや、今幸せそうな女の子見て、良いなぁ、と』
「俺Aのこと幸せにするってば」
『五条くんにはもっといい女の子がいるよ』
「うっわー、五条くんやだー。
いつまで五条くんなんだよ。
そろそろ下で呼べよ、下で」
『下って、…悟くんって?』
「いや、呼び捨…まいいか、うん、そう」
『分かった』
五条くん改め悟くんは、私のことを見下ろして、
ふくれると、さっさと行くぞ、と駅内にずんずん歩き始めてしまった。
『待って、』
「待ってるよ」
『迷子になる』
「なったらそれはそれで面白いから良い」
『最低、悟くん嫌い』
そういった瞬間、悟くんの顔が崩れた。
心臓にキリがめり込んだみたいな顔をされる。
…いや、じょ、冗談なんだけどな、…。
悟くんが、崩れた顔から泣きそうになって、慌てて駆け寄った。
『ど、え、ごめん、どうしたの』
「…いや、名前呼んで悪口言われるの思ったよりダメージでかかった」
『えぇー…、じゃあ五条くんに戻す?』
「なんで悪口言わないっていう選択肢がないんだよ」
『悟くん、…五条くんの隣いたらツッコミは必須でしょ』
「…いやだそれ」
五条くん、の一言に、めちゃくちゃ顔を顰められる。
そんな顔されましてもなぁ…。
ぶっすーとした五条くんが、改札前の開けた場所から動こうとしなくなった。
…しょうがない。
『早くいかないと置いていっちゃうよ、悟くん』
そう言ってホームに歩き出せば、悟くんが顔を輝かせて、
こっちに駆けてきた。
さっきの女の子みたいな顔されても、生憎私は彼女じゃない。
わんこみたいだなーと思いながら、隣に並んだ悟くんを見上げて笑った。
パァアァァと赤く顔を染めた悟くんと、適当な雑談をしつつ、
電車に乗り込む。
ありがたいことに電車は空いていて、
二人揃って座ることが出来た。
すると、私を1番端に座らせてくれた悟くんが、
私を見て、眠い?と聞いてきた。
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作者名:まる | 作成日時:2024年1月26日 7時