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【19】彼氏欲しいな ページ19

翌日、待ち合わせ場所に笑顔で走ってきた五条くん。



駆け寄って来て、膝に手をおいて呼吸をする、



彼の背中に手をおいて、私は口を開いた。






『まだ待ち合わせ時間まで10分あるのに。



なにも走らなくても、』



「Aに早く会いたかったっていう俺のわがまま。



悪いかよ」






そう言ってふいっと膝に手をおいたまま、そっぽ向いた五条くん。



私は息が荒い背中を擦りながら、少し笑みをこぼした。









雑談していれば、5分ほどで大きな駅に出た。



埼玉から電車で帰ろう、という突拍子も無い五条くんの提案の元、



私はパスモを取り出そうとモゾモゾする五条くんのそばで、



ある女の子を見ていた。



可愛い。



おさげにしたセミロングの女の子。



何処か、理子ちゃんを想起する見た目だ。



女の子はキョロキョロして、一瞬にして笑顔になり、



頬に赤みがさした。



寒いのもあるのだろうが、幸せに満ち溢れた笑顔だった。



女の子が、背の高い、黒いダウンを着た男性に走り寄る。



そのまま手を繋いで歩き始めたあたり、おおかた彼氏だろう。



それを見て、一人じゃないから独り言にならないというのもあり、



口から本音が漏れた。







『…彼氏欲しいなぁ』







瞬間、やばっと思った。



隣にいる相手がよりによって過ぎる。



ふと動きを止めた五条くんの方を見れば、



目をキラキラさせてこっちを見られた。



五条くんはパスモ片手に、キラキラさせたまま口を開いた。

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作者名:まる | 作成日時:2024年1月26日 7時

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