【17】相談料一箱 ページ17
ー悟sideー
「…ま?」
「うん。なんで嘘付くのよ」
俺が教室で黒板を消していると、硝子がいきなりドアを開けて、
「むしろ楽しみになってるってよ、五条」
と言い放った。
「なんの話?」
「五条が送ってるAへのメール」
「Aがそう言ってたの?」
「そう」
で、冒頭に戻る。
Aがいない時に、硝子と傑の目の前で思わず、
覚悟してたけどマジで返信来ない、迷惑かな、
と溢したからだろう。
ガターンと大きめの音を立てて椅子を引いた硝子は、
座ったあと、歩み寄る俺を見据えて、口を開いた。
「…俺、Aに嫌われてないの?」
「うん、そうじゃないと思うよ」
「…めちゃくちゃ嫌われてるのかと思ってた、良かった」
「攻め過ぎなんだと思うよ。
A、返信しようとはしてるみたいだしね」
「…え?」
「本当。
ただ来すぎて、どう返信したら良いかわからないって。
もう少し量減らしたらAも、返信しやすくなるんじゃない?」
「押して駄目なら引いてみろってこと?」
「ちょっと違うけどそんな感じ。
押しすぎて駄目ならちょうど良くなるように引いてみろってこと。
グイグイ来られても、あの箱入りお嬢様は靡かないよ」
「なるほどね」
なるほど、傑の女子の意見は聞くべき、という言葉は確かに正しい。
ありがとう硝子、と言って、
前から誘いたかった一緒に帰る、というのを、
誘ってみようかな、と携帯を持ち出した。
すると、硝子が俺の方に手を差し出した。
「…はい」
「?」
「相談料。タバコ一箱」
「…わーったよ」
今回ばかりはしょうがない。
助かったのも事実だ。
俺はコンビニ行くぞ、と硝子を連れて、教室を出ようとした。
硝子が渋々立ち上がって、あ、という。
…教室のドアには、傑が立っていた。
「…黒板、消し終わってから行こうか、悟」
「はい」
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作者名:まる | 作成日時:2024年1月26日 7時