【15】カフェ会談 ページ15
でも、と口を開いた硝子ちゃん。
「五条、最近頑張ってるなーとは思うよ。
Aが好きなもの、お土産で買ってきたいから、
苦手なものとか買ってくるのは嫌だからって、
私にAの好み聞いてきたりとか。
夏油に、メールのウザがられない内容聞いてみたりとか」
『…なんか、恋する乙女だ』
「んね。A来る前、女の子誑かそうとしてた、
五条からすると想像つかないくらい。
あとは…、そうだな、
授業中、Aの背中つついて笑い掛けてるじゃん」
『うん、よくされる』
「Aの場合いつもはスルーするけどさ、
たまに言葉返したり、笑い返したりするでしょ」
『あー、する、授業の切れ目とかならしてる』
「あの時五条、Aが前に向き直ると顔真っ赤にしてさ、
両手で顔覆い隠しちゃうんだよ」
『…乙女だね』
「そうなんだよな。
絶対普段なら見られない五条だから楽しい」
そう言ってカラカラと笑った硝子ちゃんは、
ブラックコーヒーを吸った。
私も、目の前の甘々なカフェオレを吸い込む。
…あ、美味しい。
珈琲の味するけど苦くないな。
頼んだパスタ、いつ来るかな。
そんな事を考えていれば、硝子ちゃんが、
まー、と声に出した。
「まー、不器用なやつなんだけどさ。
悪いやつじゃないよ、五条は」
『…そうだね、なんだかんだメール読んでるだけだけど、
可愛いなーって思うし、
どっかで心待ちにはしてるんだよなー…』
「…へぇー、なんか意外かも」
『ただメール来すぎて、返信したいんだけど、
返し方わからないんだよね…』
「…それは、A悪くないよ」
『申し訳なくは思ってる』
「そかそか」
硝子ちゃんが笑って相槌を打ってくれる。
硝子ちゃんと喋ってるのは心地が良い。
私も笑顔を返すと、おまたせしましたー、とパスタを置かれた。
『「美味しそー」』
声がかぶさって、びっくりしつつも笑いながらフォークを手に取った。
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作者名:まる | 作成日時:2024年1月26日 7時