【14】カフェ会談 ページ14
「浮かない顔してどした」
そう声を掛けてきてくれたのは、
喫茶で目の前に座る硝子ちゃん。
五条くんとのいざこざで薄れつつあるが、
硝子ちゃんとは二人でよく出掛けられるようになっていた。
高専に入って2ヶ月、硝子ちゃんのお陰でだいぶ馴染んできた。
『や、浮かない、…のかもなぁ…』
「五条?」
唯一敬語が外れた硝子ちゃん。
私は図星をつかれ、項垂れて頷いた。
「メール毎日来てるとか?」
『うわ図星…』
「わぁ最悪」
『い、いや、内容は可愛い、んだけど、
返信に困る、といいますか…』
メールを交換して1ヶ月ちょっと経ったが、今でも返信できたためしがない。
返さないのも悪いし、読むのは好きなのだが、
毎回返信出来ない罪悪感に苛まれ、素直に喜べなくなっていた。
「五条は箱入りだからねー…。
好きになった人もAが初めてだから、
どうしたらいいかわからないんだよ、多分。
五条なりの精一杯なんだよな」
『尚更返信できてないのが申し訳ない』
「いや、送るだけでだいぶ満足してるフシはあると思うよ」
『そうかなー…』
硝子ちゃんは円柱の透明なグラスに入ったブラックコーヒーを、
カラカラとストローでかき混ぜながら頷いた。
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作者名:まる | 作成日時:2024年1月26日 7時