【2】転校生 ページ2
《NOside》
「…というわけで、今日から復帰、
…というか入学、に等しいか。
犬甘 Aだ」
『はじめまして、犬甘 Aです』
夜蛾に連れられた女子が、座る五条、夏油、家入に頭を下げる。
貼り付けたような笑いを浮かべた犬甘の顔を見て、夜蛾が項垂れた。
そのまま夏油と家入からまばらな拍手が起こる。
ぼーっとAを見つめる五条の頭を、家入の筆箱が掠めた。
「五条、なんで拍手しないの」
しかし、口を一向に開かない五条に、夏油が痺れを切らした。
「悟、無視は良くない。
それも新しく入ってくる子だ、ちゃんと返事してあげないと」
それでも黙る。
夜蛾は再び項垂れて、まぁいい、と言った。
「これから2年生は4人だ、仲良くするように」
はぁーい、と返事した家入と頷いた夏油を見て、夜蛾は教室を出た。
席に座った犬甘の元に歩み寄った家入と、五条に諭しに行った夏油。
だが、五条は夏油のことをスルーして、座った犬甘の目の前に立った。
「名前は?」
『あっ、犬甘、です』
「下の方」
『あ、えっと、Aです』
「…なぁ、どーしたら俺を好きになってくれる?」
「「はぁ?」」
ぽかーんと口を開けた犬甘と、思わず声に出る夏油家入。
一方の五条は大真面目だった。
夏油と家入は、顔を見合わせた。
…こいつ好きになってくれるかとか聞くくせして、
自己紹介聞いてなかったんか。
犬甘は戸惑いつつ、真面目に答えた。
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作者名:まる | 作成日時:2024年1月26日 7時