私が殺しました。【呪術廻戦】 (ページ1)

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【1】一目惚れページ1

《悟side》

「…あれ、誰だろう」

そう言って、隣を歩く傑が立ち止まった。

夕暮れが差し込む古い校舎。

ふと、俺達の教室を覗き込めば、夜蛾センが見えた。

「誰って、夜蛾セ」

そこまで言って、口が止まった。

……息の吸い方が分からなくなる、って本当にあるらしい。

夜蛾センの目の前に座る女子は、ゆっくりと俺達の方を見た。

パチっと目が合う。

綺麗、の一言に尽きる、そう思った。

美、その言葉がぴったり似合うはっきりとした顔立ち。

夕暮れに照らされて、栗色の髪の毛がオレンジ色に染まる。

高く束ねられた栗色の髪の毛がなびいて、ツヤツヤとする。

目が、…不思議な色をしている。

黒、だけど、凄く綺麗だった。

女子の視線に気付き、夜蛾センもこっちを見る。

夜蛾センが俺等を指差して、女子に話し掛ける。

女子がハッとして、俺達に頭を下げた。

傑が目の前で頭を下げるが、それどころじゃない。

…勿体ない。

彼女から目を離す時間が勿体ない、

そう感じるほどに、綺麗だった。

傑が俺の頭を持って一緒に下げる。

もがいて、ようやく解放され、彼女を再び見れば、

キョトン、とした顔をする彼女と目が合った。

ふは、と彼女が笑みをもらす。

聞こえていたはずの風が窓を揺する音が聞こえなくなる。

五感が、全て失われて視力に集中する。

彼女が笑えば、綺麗が打ち砕かれた。

この時、綺麗の下には、可愛いが潜んでいることを知った。

2年の冬、凍てつく寒さの校内。

俺は、間違いなく恋をした。