【9】一人 ページ9
『ヒンメル様、お帰りなさい』
「ただいま、A。
半年ぶりだね」
『はい、お久しぶりです。
…流星群は、いかがでしたか？』
「最高だったよ」
『それは何よりです』
ヒンメルの寿命が、もう大分短くなっていることは、
ヒンメルも、Aもよく分かっている。
分かっているからこそ、Aは半年ほどかかるお使いを、
ヒンメルから受けた。
流星群の日に家に辿り着き、家事をこなしていれば、
ヒンメルがちょうど帰ってきた。
『…ヒンメル様、私はこのあとどうすれば良いのでしょうか』
「いつも通りでいいんだよ。
もうAは1人で大丈夫だろう」
『…大丈夫では、無いです。
ヒンメル様がいらっしゃらなければ、今も森の奥で、
1人、誰の役にもたてず、
この世の素晴らしさを知ることはなかったです』
「…こちらこそだよ、A。
君のお陰で僕の半生はいいものになったよ」
『勿体ないお言葉です』
まだ見た目は、全盛期のヒンメルに満たないAを見て、
ヒンメルがそっと微笑む。
そこから暫くは、ヒンメルが望めば一緒に本を読み、
ヒンメルが望めば一緒に買い物に行き。
ずっと片時も傍を離れることなく、一緒に過ごした。
…そんなある日、ヒンメルに、
ハイターへお酒を、
アイゼンには思い出の品、とやらを何か、
フリーレンにはこの手紙を、と郵便を頼まれ、
帰ってきたA。
『…ヒンメル様、ただいま戻りました』
返ってこない返事、人気のない家の中。
…ベッドに、穏やかに横たわったヒンメル。
Aは、一人になった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 437人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ヒバリ - 初コメ失礼します！いきなりですが、このお話とっっても面白いです‼︎主人公ちゃんがこれからフリーレンたちにどう出会ってどう戦うのかとても楽しみです。応援しています！これからも頑張ってください！！！長文失礼しました！ (4月29日 17時) (
レス) @page13 id: f1ebc04cbd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：御手洗ネコ | 作成日時：2024年2月26日 7時
