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【13】怒れよ ページ13

「……んで頭撫でんの」



『……ヒンメル様が、よく撫でてくれて』








家の外で寒い夜の暗闇の中、座り込んだシュタルクの隣に、



すっと立ったAが、無造作に頭を撫でる。








「じゃあ尚更なんで、Aが俺を撫でんの?」



『………んー、



フリーレン様が、ハイター様に撫でられてたのがなんだかんだ嬉しそうだったから、Aがよく頑張ったときに、



ってヒンメル様が言ってたからさ。



だからかな』



「…俺は頑張ってないよ」



『……人の目には、そうは見えてないかもよ』



「頑張ってるな、なんて言われたこと無い」



『さっき、シュタルクはよく頑張ってるって言ってたけどなぁ』



「…師匠が?」



『うん。



…ふふ、ナイショだよ?



私から聞いたとか、絶対言っちゃ駄目だからね』



「…いつも怒られてばっかなのに?」



『そうかもだけど、怒ってくれる人は貴重だよ』



「…怒られないほうがいいよ」



『そりゃねぇ。



…でも、怒ってくれる人がいるって、幸せなんだよ』



「…Aは怒られねぇの?」



『昔は、ヒンメル様が怒ってくれたよ。



…今は、誰も怒ってくれない』



「…そうかよ」



『…………シュタルクくん、



アイゼン様のこと、大事にしないと駄目だよ。



大事にしてるだろうけど、私みたいになってほしくない』



「…Aは勇者サマのこと、大事にしてなかったの?」



『してたよ。



…ううん、してたつもり、だった。



もっと、大事にすればよかったって、してたはずなのに、



…後悔、しちゃったからさ』



「………はぁ、分かった、分かったよ。



大事にする、から師匠が怒れなくなったらAが怒れよ」



『お、怒れよ?』







目を丸くしたAがクスクスと笑う。



寒いから入ろう、と言って、シュタルクの腕を引いて家に入れば、



仁王立ちしたアイゼンが迎える。








「…二人揃って何してたんだ」



「駄弁ってた」



「せめてどこにいるかくらい言え。



シュタルクにはいつも言ってるだろ」



「…ゴメンナサイ」



「Aも、ヒンメルの弟子だろ、



ヒンメルから報連相って言われなかったのか、



……なんで笑ってるんだ」



『…ゴメンナサイ、あまりにリアルタイム過ぎて』








シュタルクとAが目を合わせて笑い合う。



シュタルクとAが旅をともにするまで、あと3年。

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ヒバリ - 初コメ失礼します!いきなりですが、このお話とっっても面白いです‼︎主人公ちゃんがこれからフリーレンたちにどう出会ってどう戦うのかとても楽しみです。応援しています!これからも頑張ってください!!!長文失礼しました! (4月29日 17時) (レス) @page13 id: f1ebc04cbd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:御手洗ネコ | 作成日時:2024年2月26日 7時

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