夕暮れ沿い 2

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奈緒side






聡が撮影で台湾に行ってる。






今聡どんなの作ってるんだろう。






そう思って彼の作曲ルームに入りパソコンをいじる。








"Pretender デモ音源 完成"




知らない曲名。きっとこれだ。




そう思って再生ボタンを押すと流れ出す音楽。








"感情のないアイムソーリー
それはいつも通り
慣れてしまえば悪くはないけど
君とのロマンスは人生柄
続きはしないことを知った"






…これ…最近の私だ…



悪いと思ってないから
感情のこもってないごめんを言い
でも分かって？と
私の一方的な気持ち全部聡に押し付けてた。




きっとこの曲が、聡の答えなんだ。









"もっと違う性格で もっと違う価値観で
愛を伝えられたらいいな そう願っても無駄だから

グッバイ"






違う。


聡は昔からずっと変わらずに愛を伝えてくれてた。


それじゃ満足出来なくなったのは私で
もっとをねだったのは私。



私の方がもっと違う伝え方が出来る人だったら
今は違う未来が見えてたのかな。









"繋いだ手の向こうにエンドライン
引き伸ばすたびに 疼きだす未来には
君はいない その事実に Cry...
そりゃ苦しいよな"





もういい…








"それじゃ僕にとって君は何？
答えは分からない 分かりたくもないのさ
たったひとつ確かなことがあるとするのならば
「君は綺麗だ」"









後もう少しで曲が終わるんだろうと言う所で
停止ボタンを押した。






これ以上は聞かなかった。






まるで、私に現実を見ろって言ってるみたいで…









奈緒「やっぱ聡の曲…嫌い。」









聡の選ぶ言葉一つ一つが私に現実を突きつけてくる。






聞けば聞くほど考えさせられる。






これが誰のことを思って
誰に向けて書いてるのかは分からない。





だけど、今の私には痛いほど辛い曲だった。









奈緒「涙…とまんない。」






そのまましばらく
作曲ルームで泣き続けた。








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