夕暮れ沿い

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松永side









「手の甲と指の骨折だけだった〜。
心配かけてごめんね！」







病院に着いて診療が終わるとケロッとして出てくるAさん。









松永「腕は？
死んでるとかゆってたじゃないですか笑」








「なんともなかった！笑」








ほら！！
と言いながら腕をブンブン振るAさん。








松永「ちょ！安静に！」







…ん？







Aさんの腕を掴むと一瞬顔が強張った。









怪しいと思ってAさんの服を腕まくりする。









松永「大怪我ですけど？」








彼女の腕は包帯でぐるぐる巻きにされても尚
少し血が滲んでいた。









「骨折にくらべたら何ともないでしょ？」









と少し笑い"さー！帰ろ！"と車に向かって歩き出す。









松永「俺、今回の件は黙ってませんよ。」









「ん〜？」









松永「あれは
確実に田中さんが突き落としてました。」









「だね〜…
でも松永は何も言わなくていいよ。
後輩にそんな事させられない。」









松永「いや、でも！！」








「松永の今後が心配なの分かって？」









と優しい顔で俺を見る。







やっぱずるいわ。この人。






後輩にいろんな事チャレンジさせてチャンスを与えて
たとえ失敗したとしても上司の仕事だからと
いつも責任は自分一人で負う。






俺だってAさんを助けたい。






上司としても。







女性としても。








「あ、そう。
ここの骨ってお年寄りが折るような骨なんだって。
私の骨密度お年寄りらしい。」







松永「え？お年寄りじゃないですか？」









「…2歳しか変わんないじゃん。」







さっきまで笑っていたのに
一瞬にして不機嫌になる。





最初はノリでおちょくってただけなのに
反応が面白くて
そしてそれが素を見せてくれてるようで
いつしかこの姿をかわいいと思うようになってしまった。









松永「でかいっすよ。2歳。」








肝心な話は流れていったけど。


まぁいい。



彼女が治る怪我で済んで
こうやって拗ねて見せてくれるから。








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