第三百五十九話 ページ12
赤色の麗しい枝分かれのない毛先。
それが解かれ、ゆらゆらと風に遊ばれる様は美しく映る。
白く濡れた着物の奥に見えるのは薄い肌色。その口元に桜色の紅が引かれている。
長く伸びた黒いまつげ。その瞼の下に輝く赤の眼。
赤髪の隙間から覗く美しく艶めく横顔。
濡れた着物を着ているせいか、余計にいやらしく見えてしまうのは私だけかしら。
その姿は、言っては悪いかもしれないが女性そのものである。
「A、もう入って五時間も立つわ。少し休まないとまた風邪をひくわよ」
神の降りた地と呼ばれ、神聖に扱われる泉。
清めるためとは言えど言ってしまえば水。
春であろうとまだ寒さが残るのだから風邪を引いてしまうかもしれない。
『まだ…もうちょっとだけ』
両の手のひらを絡み合わせ、胸元にまで寄せて願う姿はまるで巫女だ。
きらきらと目立つ耳飾りが余計に神聖なものへと仕立てていっているような気がしてならない。
「駄目よ。体は大切にしなさい。鬼太郎に心配されるわよ。
貴方に何かあったら私が怒られるんだから」
頑なに泉から上がろうとしない彼女に向けて、
頬を膨らませつつ、水の上を歩き手を掴んで引っ張った。
驚くほど冷たいわけではないがやはり体は冷えており、心配が募る。
けれど泉から彼女を引き上げ、持ってきていたタオルを彼女の鞄から取り出して持っていった頃にはびっくりするほど熱い体温と、真っ赤な顔をしてその場を微動だにしないからとても驚いた。
火照る体や濡れて艶めかしい髪先を拭いてやっていると、赤い顔の彼女がぼそっと口を開く。
『…きたろうくんに、あいたい』
ぼんやりとしている赤い瞳の先に映るのはいつだって同じだろう。
しおれた花は、美しい髪と同じ鮮やかな真っ赤で顔を染めている。
どこか申し訳なさそうに顔を歪めているところがなんとも可愛すぎて駄目だ。
「愛してるって、伝えればいいのに」
『!!!それは駄目…ッ!』
口をきゅっと小さく結び、真っ赤な目を大きく開いて、赤い顔で叫ぶ彼女。
その姿はもう、男とは呼べないだろう。
ふふ…、こんな女々しい貴方を見れるのはきっと私だけね。
________
お久しぶりです皆様。
思い合う二人をちょっと書いてみました。
『更新、また頑張るのな』
いやはや、少し五月病にかかりまして、だるくて何も起きなかったのですが、
鬼太郎を見て二人の甘酸っぱい話を書いて、気力が戻ったのでこれからも頑張ります。
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モブ - 好きなアニメの夢系小説見れるのすごい嬉しいです!一気見しちゃいました!いくらでも待ち続けるので‥つづきを‥っっ (2月6日 16時) (レス) id: ab7894b478 (このIDを非表示/違反報告)
ユリの花(プロフ) - 更新お疲れ様です!ゲゲゲの鬼太郎は大好きなアニメの1つなので夢小説があって嬉しいです!最近はコロナなどで不安定なご時世ですがこれからも無理せずに頑張って下さい!ずっと応援しています! (2021年2月13日 13時) (レス) id: 3da8e597eb (このIDを非表示/違反報告)
くまくまたろう。(プロフ) - 初コメ失礼します。こんなに素晴らしい作品が書けるなんて……羨まし()ゴホンゴホン…素晴らしいです……こんな作品……ハマるしかないですよ……ありがとうこざいます……これからも応援してます…… (2019年12月9日 20時) (レス) id: 92750228b4 (このIDを非表示/違反報告)
とりまろ。(プロフ) - マリイさん» 私は私が書きたいものを書きたいんです。最近は別の方に脱線しているという理由もありますし、これ以上作品を増やすことはおそらくないです。ごめんなさい。 (2019年11月6日 11時) (レス) id: b13316b4f3 (このIDを非表示/違反報告)
マリイ - 5期の西洋妖怪バルモンドの小説も書いて欲しいです バルモンドは夢主を溺愛してる設定で (2019年11月1日 16時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とりまろ。 | 作成日時:2019年4月30日 13時