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第三百四十六話 ページ49

春の木洩れ陽が優しく世界を照らす。

花の香りと桜の咲き乱れる季節になった温かな世界に目を向ける。


「へっくしょーいっ!!」

『おいおい 大丈夫か輪廻』

「うぃー、この季節になると花粉症殺すマンだなぁ」

『はははっ何言ってんだよ』


花の香りを嫌そうにするのは、左目に眼帯をつけた輪廻。

それを見てけらけらと笑えば鼻を赤く染めた輪廻がぷんすかと怒る。


「うるせーやい!花粉症の辛さなんぞ知らんやつめー!」


ぽかぽかと殴ってくるが一切痛くない。

多分手加減されているんだろうな、なんて一人思いながら笑う。

いつもの見慣れた登校路。


春の香りに包まれて、温かな世界へと変わった。

新学期へと入り、俺達も中学三年生。


人をほんわかとさせる優しい温度が頬を自然と緩ませる。



「あほ面してんのぅA」


桜の花びらを糸に変え、糸を巻いていく糸切さんがいる。

通路に咲く桜の枝の上で花びらを集めて糸にしていっている。


『もう春ですからね。ついつい緩んでしまって』

「せやのう。新しい年じゃ!がんばれぃ」



「穏やかな顔になったなA」


桜の枝を持った刀鍛冶さんが笑う。

袋に詰められた花びらを見る感じ…多分刀の材料にするのだろうか?


『もう毎日が楽しくて仕方ないですよ』

「いい成長だ。これからもその笑顔でいてくれ」



「暖かい四季になったね」

「ししょー!」


少し早めに歩いて輪廻が天喰さんの近くで飛び跳ねる。

その様を見て天喰さんは笑い、頭を撫でてやっていた。


「今度花見でもしようかね…みんなを集めて」

『いいですね』



いつもと少し違う登校路。

幸せで暖かい温度に包まれた世界を見つめて、歩く。


「せんぱーい!」

「遅いわよA」


こちらに手を振って笑顔でやってくるまなちゃん。

こちらに笑みを浮かべる蘇芳。






今日も、俺の見える世界は幸せに満ちている。

途切れぬ血筋を持ちながら、血の色の花水木を咲かせて。

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とりまろ。(プロフ) - あんこもちさん» 鳥肌になってくれて嬉しいですわッッ!(((新章も始まりまして更新バリバリ頑張りますよ!コメントありがとうございます! (2019年4月30日 13時) (レス) id: ba9bcb022c (このIDを非表示/違反報告)
あんこもち - わぁぁ!凄い!全部の題名と繋がった!何か意味があるんだろうなぁ〜と思ってたけどほんとに合った!あそこ読むとき鳥肌やばかったです!鬼太郎と夢主ちゃんの恋の進展も気になる、、、。更新頑張ってください!長文失礼しました。 (2019年4月30日 8時) (レス) id: 209354e5c5 (このIDを非表示/違反報告)
とりまろ。(プロフ) - 待っていてくれてありがとうございます!不定期更新ですが完結まで頑張ろうと思います! (2019年4月20日 20時) (レス) id: ba9bcb022c (このIDを非表示/違反報告)
みっこ - 待ってました!忙しくて更新できない時が多いかもしれませんが少しずつ更新頑張ってください!これからも応援しますっ!(・ω・)ノシ (2019年4月20日 20時) (レス) id: f38aff3a8c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:とりまろ。 | 作成日時:2019年3月24日 15時

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