第三百四十話 ページ43
ぽたりと落ちた少女の涙が五芒星の池に落ちた時、地面が光を発する。
光の柱が何本も出てきて、俺たちを包んでいく。
映し出された風景に目を向ける。
鬼と人。
妖怪と人間。
二人が交わり合い、生を受けた赤子。
この世に産声をあげることもなく、愛の代わりに恨みをたっぷりと詰めこまされた赤子。
愛し合うことがまだ罪だった頃のお話。
「おやめください！」
赤い髪の毛の少女が鬼と人、その夫婦を取り囲む人間と妖怪達の間に割り入った。
赤い紅を口元に薄く引き深紅の瞳を輝かせ、幼い少女が入り込む。
「彼らを見逃してあげてください！
せめて腹の中にいる赤子だけでも…どうか、どうか！」
背にいる二人を守るために手を広げる。
その姿が一体誰かと気付いた時に、涙が溢れて止まらなかった。
幼いながらもしっかりとした大人の表情を持つ少女の名前は＿＿＿＿。
「黙れ"蘇芳"！貴様もだ。妖怪などと友好の関係になった！
そのせいで我が娘と妖怪が結ばれた！貴様は災いの元なのだ！消えてしまえ！」
鋭く伸びた槍の刃が、何本も少女の頭を貫いた。
血が飛び散ってぐちゃぐちゃとした粘着音が響いていく。
それを見た時、力が抜けてその場に座り込んだ。
もう命が尽きたというのに人間や妖怪は彼女の体をぐちゃぐちゃに殴り潰す。
原型さえわからないほどに、骨も残らないほどに。
『やめろ…やめろ…っ！』
逃げ出す夫婦。それを追いかける人間と妖怪達。
その場に置き去りにされた血肉の塊に一人の女が近寄った。
「まぁまぁ…可哀想に。どんな種族でも肩を並べて、
生きられる世界を望んだせいで、あなたは死んでしまった。
よかったら私が生き返らせてあげましょうか？
この"血花
あぁ、あぁ…なんてことだ。
苦しくて、悲しくて仕方がない。
あまりにも酷すぎて、辛すぎて、残酷で。
少女はただ、肩を並べて生きられる世界を望んだだけだったのに。
赤い花水木が悲しげに散った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 45人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
とりまろ。(プロフ) - あんこもちさん» 鳥肌になってくれて嬉しいですわッッ！(((新章も始まりまして更新バリバリ頑張りますよ！コメントありがとうございます！ (2019年4月30日 13時) (
レス) id: ba9bcb022c (このIDを非表示/違反報告)
あんこもち - わぁぁ！凄い！全部の題名と繋がった！何か意味があるんだろうなぁ〜と思ってたけどほんとに合った！あそこ読むとき鳥肌やばかったです！鬼太郎と夢主ちゃんの恋の進展も気になる、、、。更新頑張ってください！長文失礼しました。 (2019年4月30日 8時) (レス) id: 209354e5c5 (このIDを非表示/違反報告)
とりまろ。(プロフ) - 待っていてくれてありがとうございます！不定期更新ですが完結まで頑張ろうと思います！ (2019年4月20日 20時) (レス) id: ba9bcb022c (このIDを非表示/違反報告)
みっこ - 待ってました！忙しくて更新できない時が多いかもしれませんが少しずつ更新頑張ってください！これからも応援しますっ！(・ω・)ﾉｼ (2019年4月20日 20時) (レス) id: f38aff3a8c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：とりまろ。 | 作成日時：2019年3月24日 15時
