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第三百三十三話 ページ36

「_____父…さん」






ふと響いた声の主に目を向ける。

ちゃんちゃんこを羽織っていない鬼太郎くんがうつむいたままこちらに歩いてきた。

何があったのかもわからないほど、暗く暗く落ち込んでいる。

そんな鬼太郎くんを見て零くんは何も言わずに近付き、

そしてその腹部を思いっきり蹴り飛ばした。


相当強い力で蹴ったのだろう。

かなりの勢いで鬼太郎くんは遠くに飛ばされた。


それを追うように零くんはゆっくりと歩いて鬼太郎くんへと向かう。

止めなければいけないのに、なぜか止めちゃいけない気がしてどうしようもできなくて、

二人のその様子を見ることしかできない。


「立てよ鬼太郎。お前の父親が犠牲になったところで一体なんだってなんだ?
人の忠告もまともに聞き入れなかったやつが親父が死んだ一つのことで俯いてんじゃねぇよ。
これはてめぇの因果応報だ。てめぇが責任とってなんとかしやがれ。
やるべきことはわかってんだろ」


鬼太郎くんの前で仁王立ちし、ただ怖い目線を下ろす零くんの姿があまりにも人知を超えているようで。

まるで…そう、なんと形容したらいいのだろうか。


「……邪神みてぇだな」


背後から聞こえた言葉がすっと胸に浸透していった。

そう。まるで邪神のような恐ろしさを彼は帯びている。

人でもなければ人外でもない。


かといって神と言えばそれも違う。

恐ろしいものの塊のような。



「それともてめぇの守りたいっつー感情はそんなもんだったわけか?
あの怪物気取りの赤ん坊がこの街で暴れたら一体どうなるか教えたはずだよなぁ?
今更全部ぶっ壊れていいとでも思ってんのか。あの赤髪のガキはどうなる」


零くんが親指で俺のことを指す。

鬼太郎くんの視線も俺の方へと向いた。


「お前はあれが守りたかったんじゃねぇのか。
それともお前のその気持ちは親父がいなくなっちまうだけで簡単に折れるもんのか?」


冷たい言葉の中にわずかに熱がこもる。

嗚呼、違う。彼は多分邪神なんかにはなれない。


「守りたいなら、最後まで責任もって守れよ」


多分。落ちたくても墜ちられないんだ。


「そう決めたならくじけてんじゃねぇ…っ」


悪い人にも、良い人にもなれない曖昧な人。


「てめぇが決めたことぐらいてめぇが守りやがれ!!」


零くんが強く、鬼太郎くんの胸ぐらを掴んで叫んだ。

溢れる想いがぽろぽろと言葉に乗せられて弾ける。

きっと彼もまた、

守りたくても守れなかったものがあるのだろう。

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とりまろ。(プロフ) - あんこもちさん» 鳥肌になってくれて嬉しいですわッッ!(((新章も始まりまして更新バリバリ頑張りますよ!コメントありがとうございます! (2019年4月30日 13時) (レス) id: ba9bcb022c (このIDを非表示/違反報告)
あんこもち - わぁぁ!凄い!全部の題名と繋がった!何か意味があるんだろうなぁ〜と思ってたけどほんとに合った!あそこ読むとき鳥肌やばかったです!鬼太郎と夢主ちゃんの恋の進展も気になる、、、。更新頑張ってください!長文失礼しました。 (2019年4月30日 8時) (レス) id: 209354e5c5 (このIDを非表示/違反報告)
とりまろ。(プロフ) - 待っていてくれてありがとうございます!不定期更新ですが完結まで頑張ろうと思います! (2019年4月20日 20時) (レス) id: ba9bcb022c (このIDを非表示/違反報告)
みっこ - 待ってました!忙しくて更新できない時が多いかもしれませんが少しずつ更新頑張ってください!これからも応援しますっ!(・ω・)ノシ (2019年4月20日 20時) (レス) id: f38aff3a8c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:とりまろ。 | 作成日時:2019年3月24日 15時

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