第三百十六話 ページ19
夕焼けに染まる帰路。
前ほど恐怖を感じなくなった赤を浴びながら前を向く。
今日もまた、幸せに生きていられる。
それがたまらなく嬉しいんだ。
「お前夕焼けに映えるよなー」
『そうだろうか？』
「そうやでーやっぱ元がええからかなー」
『なんだその訛り』
帰路を友人と歩いていく。
昔とは違う。一人ぼっちではない風景。
帰りを出迎えてくれる人もいる。
生きていることを、許してくれる人もいる。
＿＿＿＿＿愛している人がいる。
あぁ、幸せ。
「おぎゃあ！おぎゃあ！」
『ん？』
聞きなれたような声が耳に届いてふと振り向いた。
公園の中、放置されていたのはベビーカート。
そしてそこから聞きなれた泣き声が聞こえ、奥の方には見慣れた姿が見える。
「なぁあれ鬼太郎氏じゃね？」
『…あ、もしかしてあの事件の解決じゃない？』
「あー赤子誘拐のやつ？」
『そうそう、邪魔できないね』
適当に影になるところで二人隠れる。
また勝手に手伝おうとしてるけど別に悪くはないよね。
役に立とうとしてるだけだもん。
迷惑だったら、言って欲しいけど。
「あ、A上」
『ん？』
輪廻が指差すと羽音共に黒い影が空から降りてくる。
その影の本体は紅鶸色の大きな鳥。
「姑獲鳥じゃん。確かにありそうだなーとは思ってたけど」
『うぶめ？妊娠や出産した女の人のことか？』
「それは産女。姑獲鳥ってのは難産で死んじまった女の幽霊のこと。
通行人に赤ん坊を抱かせようとするんだって。
んで抱いたものは力を得るとか帰ってみたらただの石だったとか。そんなお話よ。
でも人型だったような気がするけど…まぁそこはいいや」
『ふーん…でも赤子持ってないよね』
「そうやな。だから赤子さらってたんじゃね？
昔は夜に着物を干すと姑獲鳥が自分の赤ん坊の着物だと思って毒入りの乳を服に塗るって言われてたらしいし」
『うへぇ…想像したらくっそえぐいな』
「あ」
影から会話を繰り広げていたら姑獲鳥がおそらく、いや確実に子泣きじじいを加えて飲み込んだ。
鳥は咀嚼することはないので基本丸のみで食らうんだろう。
えってことは子泣きじじい食われたってこと？
「巣に連れていくつもりなんだ。そこは鳥と同じなんだな」
『じゃあ早く追っかけないとな』
飛び去っていく姑獲鳥を目で追いかけながら鬼太郎くんの元まで走り寄る。
方向は覚えたからあとは後ろをついていくだけ。
「A！」
『俺も手伝うから！』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 45人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
とりまろ。(プロフ) - あんこもちさん» 鳥肌になってくれて嬉しいですわッッ！(((新章も始まりまして更新バリバリ頑張りますよ！コメントありがとうございます！ (2019年4月30日 13時) (
レス) id: ba9bcb022c (このIDを非表示/違反報告)
あんこもち - わぁぁ！凄い！全部の題名と繋がった！何か意味があるんだろうなぁ〜と思ってたけどほんとに合った！あそこ読むとき鳥肌やばかったです！鬼太郎と夢主ちゃんの恋の進展も気になる、、、。更新頑張ってください！長文失礼しました。 (2019年4月30日 8時) (レス) id: 209354e5c5 (このIDを非表示/違反報告)
とりまろ。(プロフ) - 待っていてくれてありがとうございます！不定期更新ですが完結まで頑張ろうと思います！ (2019年4月20日 20時) (レス) id: ba9bcb022c (このIDを非表示/違反報告)
みっこ - 待ってました！忙しくて更新できない時が多いかもしれませんが少しずつ更新頑張ってください！これからも応援しますっ！(・ω・)ﾉｼ (2019年4月20日 20時) (レス) id: f38aff3a8c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：とりまろ。 | 作成日時：2019年3月24日 15時
