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第三百三話 ページ6

『…ん』


歪む視界をなんとか使いながら目を覚まし起き上がる。

生い茂る竹、薄暗い世界。


ただ目の前には奴がいた。



「血の地の家の知の 血の果ての…呪い縛りし憂い姫…。
毒に堕ちるか地に落ちうるか…それとも恨み果て尽きるか…」


空を飛ぶ黒、面妖な仮面。

ただただ暗いだけのもの。


『…名無し…っ!』


目の前にいる名無しと、その足元で横たう零くん。

急いで駆け寄ろうとすれば名無しは霊訓に顔を近付ける。


「憂い熟れ賣れ堕ちた神…闇に塗ればどう輝くか…。期待稀代…」


その手のひらが、零くんに触れかける。

俺はただその手に向けて札を投げた。


ばちばちと鋭くいびつな音が響き渡れば名無しは怯んでおり、零くんから離れていた。

その隙を狙って急いで零くんに走り寄り彼を抱え上げる。

流石に俺は鍛えていても女なんだ。男性一人担ぐのは相当足にくる。


それでも、ただ必死に走って名無しから逃げだした。

今はあいつと相手できない、そう思ったから。









走りまくっていたらいつしか竹やぶを抜けた。

呼吸が荒れまくって、肺に酸素が回らなくなってしまう。

いや、呼吸困難が起こっているから多分二酸化炭素が肺に足らないんだろう。


一瞬、死を悟った。


「…A?」


薄れゆく呼吸と意識の中で、涙ぐんだ眼に誰かが映った。

聞き覚えのある声と面影。

体にかかる重みと、苦しさに耐えきれずちゃんと確認もできないまま俺は倒れた。




口元に、温かな温度を感じながら。

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とりまろ。(プロフ) - あんこもちさん» 鳥肌になってくれて嬉しいですわッッ!(((新章も始まりまして更新バリバリ頑張りますよ!コメントありがとうございます! (2019年4月30日 13時) (レス) id: ba9bcb022c (このIDを非表示/違反報告)
あんこもち - わぁぁ!凄い!全部の題名と繋がった!何か意味があるんだろうなぁ〜と思ってたけどほんとに合った!あそこ読むとき鳥肌やばかったです!鬼太郎と夢主ちゃんの恋の進展も気になる、、、。更新頑張ってください!長文失礼しました。 (2019年4月30日 8時) (レス) id: 209354e5c5 (このIDを非表示/違反報告)
とりまろ。(プロフ) - 待っていてくれてありがとうございます!不定期更新ですが完結まで頑張ろうと思います! (2019年4月20日 20時) (レス) id: ba9bcb022c (このIDを非表示/違反報告)
みっこ - 待ってました!忙しくて更新できない時が多いかもしれませんが少しずつ更新頑張ってください!これからも応援しますっ!(・ω・)ノシ (2019年4月20日 20時) (レス) id: f38aff3a8c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:とりまろ。 | 作成日時:2019年3月24日 15時

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