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第三十五話 ページ36

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足の菊の模様が消え

痛みが引いていく

それと同時に傷が酷く傷んだ

思いっきり暴れてたからだろうか


もうすぐ死んでしまう赤銅の近くに寄った

赤銅は その目から涙を流していた

でも その顔は安らかな笑顔だ


「…本当は 蘇芳様に願いを叶えてもらいたかった
愛する人を失った悲しみが 忘れられなかった」


傷口から血が流れ

少しずつ 体から温もりが消えていっている


「でも…もうそれも必要ない
私も やっと 彼女の元へ行ける…」


赤銅は俺に手を伸ばす

綺麗に伸びた爪に 赤い爪紅が塗ってある

でも 随分と手入れされていないようで ボロボロだった


「…彼女とお揃いだったんだ 爪紅…
好きだったんだよ この色…」


涙を伝わせ 笑う赤銅

赤銅が話す話をじっと聞いていた


赤銅は昔人間であった

大切な伴侶がいて 幸せだったそうだ

同じ爪紅をつけ ずっと側にいると誓った


けれど 伴侶は人間によって殺された

それに絶望した赤銅に目をつけたのは



「貴方を呪う 蘇芳…」

『…蘇芳』

「私はまんまと蘇芳の思惑に乗り
こんな醜い姿になってしまった

きっと 向こうに行っても
彼女には愛されないでしょう

…それでもいいのです
あの人がいてくれるなら

それだけで幸せだから」


ぎゅっと 赤銅の手を握りしめた

細い指先 きっとそこまで力も強くなかったんだろう

そんな体で俺と戦った


「…どうか 他に蘇芳に囚われた人を
私のような元人間を…助けてあげてください」

『……わかった 約束しよう』


赤銅は微笑むと

ゆっくりと目を閉じた









「…待っていたよ 君のこと
やっと会えたんだね」

「もう僕は 綺麗じゃないよ」

「それでもいいよ
君は君なんだ ずっと大好きだよ」














最後に聞こえた 赤銅と

おそらく 伴侶であった女の人の声は

とても幸せそうに笑っていた




『妖怪 赤銅
どうか安らかに眠れ』


赤銅の体はボロボロに崩れ なくなった

人の気持ちを利用し 操った蘇芳


…俺は絶対に許さない

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白桜姫 - 夢主の髪の色がめちゃいい (2020年1月23日 22時) (レス) id: fb346ce4d5 (このIDを非表示/違反報告)
とりまろ。(プロフ) - 碌無者さん» うーん、作ったのがかなり前なのであまり覚えてはいませんが確か、この子は死んでいるから呪っても意味はないという意味を込めてだったかと思います。作者が曖昧ですいません… (2019年8月31日 12時) (レス) id: b5b6caadd7 (このIDを非表示/違反報告)
碌無者(プロフ) - 初めまして。何故正装が死装束なのですか? 和服の合せは男女共通で、正面から見てカタカナの「ソ」になるのが正しい着方です。逆になると死んだ人に着せるものになりますので、不吉ですよ。作中で説明が成されていたら申し訳ありません。気になりましたもので。 (2019年8月30日 16時) (レス) id: 0a4b7a6801 (このIDを非表示/違反報告)
もずく。(プロフ) - レモンさん» 閲覧ありがとうございます 誤字などは私の小説では多いので指摘してくださりありがとうございました! (2018年10月4日 15時) (レス) id: 5241d6a6f8 (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - はじめまして、最初から一気に途中まで読ませていただきました!!面白かったです! (2018年10月3日 16時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もずく。 | 作成日時:2018年4月5日 20時

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