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「あんた、伍代の女なんだな。」
前回会ったときよりもなんとなく雰囲気が怖くて身構える。
私に声かけてきた理由を必死に探すも、思い浮かばなくて余計焦る。
これ、こないだ同じ学校って言わなかったの怒ってきてるのだろうか。
え、どうしよう………
「何か用ですか?」
「いや、俺の周りでさ、伍代の女がやべぇって騒いでてよ。いうても大したことねぇだろって一目見ようと思ってさ。そしたらあんただっていわれたんだよな。」
「そうですか………」
なんの用事かと思ったら伍代の女と勘違いしてきただけのようでホッとした。
「でもさぁ、こうやってまた再会するなんて運命じゃね?あのとき話してた相手って伍代のことなんだろ?伍代とうまくいってないならさ、やっぱり俺と付き合わね?」
「………私の気持ちは変わらないです。」
「相手にされてなくても?」
「……………」
核心をついてる言葉に動揺する。
この人はどこまでわかっているのだろう。
見つめられる視線。目を合わせると全て見透かされてそうな気がして怖くなって視線を外した。
「………あ、なにも言わないってことは本当にそういう感じ?聞いたことあるけどあいつ結構いろんな女いるだろ?」
「…………。」
「そういうやつにいつか自分をみてくれるなんて思わない方がいい。時間の無駄。誰か一人なんて選ばねぇよ。」
「…………。」
そんなことわかってる。
「それでもいいんです。選ばれなくてもいい。彼の隣にいれたらいいんです。」
「でも、今現に隣にいねぇだろ。」
「…………」
「ま、俺も正直いうと他にいるけど、Aと付き合うなら全部切ってもいいって思ってる。
辛いなら逃げればいいんだよ。それは別に悪いことじゃない。だから俺のとこ来いよ。」
「…………。」
今の関係を察してるのだろう。
陣内にかけられる言葉が的確で、胸に刺さる。
もういっそのこと逃げてしまった方が本当は楽。
追いかけたって報われないなら確かに無駄になる。
その通りなのに、決断する勇気がなくて、傷つきたくなくて結局立ちどまる。
何より、やっぱりそんな簡単に諦めることなんてできない。
「ま、考えといて。また返事聞きにくるわ。こんなに近いならいつでも会えるからな。」
諦められないのは向こうも同じのかもしれない。
こんなに断ってるのにここまでして諦めてこない相手は初めてで、向こうのペースに流されるまま返事は保留になってしまった。
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みお(プロフ) - めちゃめちゃ面白いです!更新楽しみにしてます! (2022年6月25日 22時) (レス) @page13 id: a084972b78 (このIDを非表示/違反報告)
みゆり - こんにちは!急なんですけどなんか最近伍代くん関連の作品キスシーン多くないですか?妄想が止まらなくて読むたびにカッコいい伍代くんに半殺しにされてるんですけど…。これからも更新楽しみにしてます!頑張ってください! (2022年6月18日 13時) (レス) @page4 id: 62691ac6fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:優奈 | 作成日時:2022年5月9日 23時