曖昧な距離感

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「お、伍代診察終わったのか。うわー痛そうだなぁ。」
「大したことねぇから。」





いつのまにか診察室から出てきた伍代はやっぱり腕が折れていたようで固定された状態で出てきた。本人は大丈夫と言い張るけど治るまで時間かかりそう。

トイレに立った剛が座っていた席に入れ違いで伍代が腰かける。





「………なに、口説かれてた？」

「…………え、聞いてたの？」
「まぁ。」
「口説かれてたわけじゃないから。それに昔の話らしいし。」
「でもちょっとは意識しちゃうんじゃねぇの。」
「別に意識なんてしないし……」

「へぇ。……でももしさ、昔なんていうのは嘘で、今も好きだって言われたらどうすんだよ。」
「何その質問。それはないでしょ。」
「例え話。そんなんわかんねぇだろ。」
「そうやってからかうのやめて。」

「………ほんと、隙ありすぎ。」
「え、関係なくない？」
「いや、隙あるから告白されるんだろ。
つーか幼馴染みだからってやけに距離近くね？」
「え、そう？てか別に距離近くてもよくない？何でキレ気味なわけ？」

「ほらほら病院でヒートアップすんな。伍代も妬いてんじゃねぇよ。」




剛が戻ってきてくれたことで私と伍代の言い合いが止まる。




「は、違げーし。意味わかんね。」




ちょうど会計で呼ばれ、伍代は席を立つ。




「伍代が妬くわけないじゃん。」
「いや、あれは俺とAが仲良くしてっから妬いてんだよ。さっき診察終わって出てきたときも俺と話してるからこっち睨んでたんだぜ？」

「そうみえただけじゃなくて？」
「今だってこっちチラチラみてるだろ。いやー意外と脈ありなんじゃね？」
「そうなのかな……」




たしかに剛の言う通りならいいのに。
自信がない私にとってはすごく嬉しかった。

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