運なき休日 ページ10
『本当にすみませんゲゲ郎さん。終わり次第帰ってきますので、お腹が空きましたら食卓に置いてあるオムライス食べてください。じゃあ行ってきます』
「道中気をつけるんじゃぞ」
慌ただしく外へ出ていく
「
どこか物寂しそうな表情で、ゲゲ郎は静まり返った家の中、ポツリとそう呟いた。
ーー本来なら樹は今日、会社の有給休暇を取っており、珍しく平日の朝から昼頃まで部屋でゴロゴロとしていたのだ。
だが彼女は勿論のこと、ただ眠る為だけに有給休暇を取った訳ではない。
ーーそれは数日程前…。
「くりーむそーだ?この緑のやつはどこか見覚えがあるのぅ…」
『もしかして、メロンクリームソーダのことですか?知ってるんですね』
喫茶店のチラシを片手に、眉間に皺を寄せながら首を傾げているゲゲ郎の元に、樹が近寄った。
「ふむ…。昔どこかで見た気がするんじゃよ。誰だったかのう、珍しく人間の食べ物を好み食うておる奴がおったんじゃが…」
『思い出せないんですか?』
過去の話がゲゲ郎から語られるのは初めてだった為か、樹は少し食い気味になり問い掛けた。
「此処に来る前までの事は覚えておる。ただ滅多に会うことのない妖怪じゃと、どんな奴だったかすぐに思い出せんのじゃ」
『確かに、ゲゲ郎さんはお知り合いが多そうですんね』
あまり詳しい話が聞けず残念だなと内心落ち込んだ樹は、そう言うと再度チラシへと視線を下ろした。
「して、これは本当に食べられるのか?何やら風変わりな色味をしておるが…」
『勿論ちゃんと食べれますよ。…あ、この喫茶店近くにありますし、今度食べに行きませんか?』
「!行きたくない訳じゃないが…。わしは…」
『平日のお昼過ぎなら此処の喫茶店、あまり人は来ませんよ』
ゲゲ郎が素直に行こうと言えない原因を察した樹は、余所見をして若干にやけつつそう付言した。
「わしはいつでも行けるぞ!」
そして、ゲゲ郎は見事にその言葉に釣られたのだ。
ーーと、今日がその喫茶店に行く予定をしていた日だったのだが…。
『え、ど、同窓会ですか?』
まるで仕組まれたかのようなタイミングで、樹に断りづらい用事が舞い込んできたのだ。
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永久瀬(プロフ) - mizuiroさん» いえいえとんでもない!すごく嬉しいお言葉です!今後も気長に付き合っていただけると有り難いです! (12月9日 21時) (レス) id: 8005ed3d7e (このIDを非表示/違反報告)
mizuiro(プロフ) - 永久瀬さん» ご返信ありがとうございます!こちらこそ無理なお願いで申し訳ありません!お話大好きなので今後も読み続けます! (12月9日 20時) (レス) id: 29b3887541 (このIDを非表示/違反報告)
永久瀬(プロフ) - mizuiroさん» コメントありがとうございます!ご要望にお答えできず大変申し訳ないのですが、名前変更を可能にする予定は今のところ考えておりません。今後時間に余裕ができましたら、もう一度考えさせていただこうと思います。本当に申し訳ありません!! (12月9日 19時) (レス) id: 8005ed3d7e (このIDを非表示/違反報告)
mizuiro(プロフ) - めちゃくちゃ好きなお話です!!これ名前変更することって可能ですか?? (12月9日 19時) (レス) @page8 id: 29b3887541 (このIDを非表示/違反報告)
永久瀬(プロフ) - アミさん» ありがとうございます!更新はゆっくりになる時もあるかもしれませんが、頑張って書いていこうと思います!何卒、今後もよろしくお願いします! (12月9日 8時) (レス) id: 8005ed3d7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:永久瀬 | 作成日時:2023年12月3日 21時