正直な音 ページ5
翌日、案の定私は寝不足状態になっていた。
人間の本能と言うべきなのか、涙を流した相手に対しての同情心が収まらず、夜通し考えに考えあぐねていた結果こうなってしまったのだ。自業自得と言うやつだろう。
取り敢えずは朝食を済ませ、会社へ行く為のある程度の身支度を整えた私は、再度寝室へと向かい、熟睡しているゲゲ郎さんをじっと眺めていた。
ゲゲ郎さんの目元には、未だにうっすら涙の跡が残っている。
ーーはだけた服の隙間から傷口の様子を見ると、昨晩まで一向に流血が止まらなかった大傷がもう完全に塞がろうとしていた。
おそらく、あと数日も経たぬうちに完治してしまうだろう。
一つ言わせてもらうが、一応ゲゲ郎さんは人間なら寝たきりになってしまってもおかしくはない程の重症を負っていたのだ。
それがこの回復力とは末恐ろしい
ーー包帯の巻き直しは仕事から帰宅した後で、ゲゲ郎さんが起きた時にでもしようと思い、私は会社に行くまでの時間にまだ余裕もあった為、その間キッチンに立ってゲゲ郎さん用のお粥を作ることにした。
十中八九怪しまれて食べてもらえないような気もするが、もしかしたらという希望と、昨晩のあんなゲゲ郎さんを見てしまった私には、何もせず呑気に会社に向かうのもやはり気が引けてしまったのだ。
ーー出来上がったお粥を分厚いコースターに乗せ、折りたたみ式の小さな机の上へとゆっくり下ろした。
最後に「よければ食べてください」とだけ書いたメモ帳を側に置き、心配する気持ちを押しのけて、私は会社へと出社した。
ーー「…ん？なんじゃもう朝か…」
「なかなかに美味そうな匂いがすると思うたが、これかのう？」
暫く食べ物を口にしていなかったゲゲ郎は、どうやら樹の作ったお粥の匂いで本能的に目を覚ましたようだった。
「あの人間の作ったものか…。ならばわしは絶対食わんぞ」
だが、ふんぞり返ったゲゲ郎はお粥に一切口を付けようとはしなかった。
「ぐうぅ」
「…………」
しかし、
「餓死する訳にもいかんしのう…」
人間の作ったものなど到底食べたくはないが、自身の身の危険も考慮した挙げ句、ゲゲ郎は渋々お粥に手をつけた。
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永久瀬(プロフ) - mizuiroさん» いえいえとんでもない！すごく嬉しいお言葉です！今後も気長に付き合っていただけると有り難いです！ (12月9日 21時) (
レス) id: 8005ed3d7e (このIDを非表示/違反報告)
mizuiro(プロフ) - 永久瀬さん» ご返信ありがとうございます！こちらこそ無理なお願いで申し訳ありません！お話大好きなので今後も読み続けます！ (12月9日 20時) (レス) id: 29b3887541 (このIDを非表示/違反報告)
永久瀬(プロフ) - mizuiroさん» コメントありがとうございます！ご要望にお答えできず大変申し訳ないのですが、名前変更を可能にする予定は今のところ考えておりません。今後時間に余裕ができましたら、もう一度考えさせていただこうと思います。本当に申し訳ありません！！ (12月9日 19時) (レス) id: 8005ed3d7e (このIDを非表示/違反報告)
mizuiro(プロフ) - めちゃくちゃ好きなお話です！！これ名前変更することって可能ですか？？ (12月9日 19時) (レス) @page8 id: 29b3887541 (このIDを非表示/違反報告)
永久瀬(プロフ) - アミさん» ありがとうございます！更新はゆっくりになる時もあるかもしれませんが、頑張って書いていこうと思います！何卒、今後もよろしくお願いします！ (12月9日 8時) (レス) id: 8005ed3d7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：永久瀬 | 作成日時：2023年12月3日 21時
