齟齬をきたしはいつぞやか ページ21
喉から手へと巻き付く髪が身体の自由を完全に奪った頃、私の意識は朦朧とし始めていた。
ーーあぁこのまま本当に死んでしまうのではないだろうか…。
そうすら思える激しい苦痛の中、ふと温かい何かが私の頬に触れた。
うっすらと見える朧気な視界の先には、ゲゲ郎さんの手が映っている。
一向に焦点の合わない目を凝らして現状確認をしていたところ、突如私はゲゲ郎さんの手に引かれ顔を持ち上げられた。
『いﾞっ』
次の瞬間、何が起きたのかも把握できない程の速さで、私の口元に激しい痛みが走った。
突然の痛みに正気を取り戻した私は、目の前の光景に驚愕し、言葉を失っていた。
ーー私は今ゲゲ郎さんに接吻、否、噛みつかれているのだ。
その証拠に私の口元からはダラダラと鮮血が滴り落ちている。
噛みつかれているとは言ったものの、強ちキスされているという事実に過言は無い為、私のファーストキスはこの人に奪われてしまったという事だ。
ーー初めてとはこんなにも容易く奪われてしまうものなのかと、一周回って冷静になった頭で私は考えていた。
しかし、いくらなんでもこの状況はまずい予感しかしない。
…かと言って、どう抵抗してもビクともしないこの人外相手に私は何ができようか。
何か方策をと考えていた矢先、キョロキョロと動かしていた目線がゲゲ郎さんと絡み合った。
ーーいつもとは打って変わって細められた目が紅色の瞳をより一層際立たせている。
その姿の何たる妖艶な事か。
思わず見惚れてしまいそうになる心を抑え、私はやめてくれと目配せでゲゲ郎さんに訴えた。
その思いに気づいてくれたのか、私からゆっくりと離れてくれたゲゲ郎さんに安心したのも束の間のこと。
「嫌じゃ」
相好を崩してそう述べたゲゲ郎さんに、私は些かの恐怖を覚えた。
ーーそして、挙句の果てに彼は左手の親指で私の唇に付着した血を綺麗に拭い、それを躊躇うことなくペロリと舐めた。
呆気に取られ動けないでいると、気づいた頃にはまた振り出しに戻っている。
お酒を飲ませるべきではなかったのか。
そもそも彼と関わった時点で端から間違っていたのか。
ーー考えているうちにも次第に意識は遠のき、狂おしいと言わんばかりの表情をしたゲゲ郎さんを見たのを最後に、私の視界は暗転した。
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永久瀬(プロフ) - mizuiroさん» いえいえとんでもない！すごく嬉しいお言葉です！今後も気長に付き合っていただけると有り難いです！ (12月9日 21時) (
レス) id: 8005ed3d7e (このIDを非表示/違反報告)
mizuiro(プロフ) - 永久瀬さん» ご返信ありがとうございます！こちらこそ無理なお願いで申し訳ありません！お話大好きなので今後も読み続けます！ (12月9日 20時) (レス) id: 29b3887541 (このIDを非表示/違反報告)
永久瀬(プロフ) - mizuiroさん» コメントありがとうございます！ご要望にお答えできず大変申し訳ないのですが、名前変更を可能にする予定は今のところ考えておりません。今後時間に余裕ができましたら、もう一度考えさせていただこうと思います。本当に申し訳ありません！！ (12月9日 19時) (レス) id: 8005ed3d7e (このIDを非表示/違反報告)
mizuiro(プロフ) - めちゃくちゃ好きなお話です！！これ名前変更することって可能ですか？？ (12月9日 19時) (レス) @page8 id: 29b3887541 (このIDを非表示/違反報告)
永久瀬(プロフ) - アミさん» ありがとうございます！更新はゆっくりになる時もあるかもしれませんが、頑張って書いていこうと思います！何卒、今後もよろしくお願いします！ (12月9日 8時) (レス) id: 8005ed3d7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：永久瀬 | 作成日時：2023年12月3日 21時
