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心境の変化 ページ13

今の世の中、妖怪などという人外が見えると誰かに伝えたとて、その言葉をあっさり鵜呑みにするような人間は到底居る筈もない。

 幼くしてそれを悟ってしまった樹の本心に、これまで誰が寄り添ってきたのだろうか。

 少しでも本心を曝け出してしまえば、途端にこの世の異分子として見なされてしまう社会で、彼女はこれまでどれ程自分を押し殺し生きてきたのだろうか。

 あらゆる面で想定できてしまう数々の苦難に、自身をも感化されてしまいそうになっていたゲゲ郎は、改めて彼女の強さを思い知った。

 また、同時に彼女はいつ何時壊れてしまってもおかしくない程、脆い存在でもあると気づいたのだ。


 ーーならば、自分が彼女の唯一となってしまえばいいだけの事…。

 かつてのゲゲ郎になら、天地がひっくり返ろうとあり得る筈のない考えが、何の躊躇もなく頭に浮かんだ。


 彼女も所詮、自身が憎み嫌っている筈の人間の一人である事に間違いはない。

 しかし、何故(なにゆえ)その存在にここまで惹かれてしまっていたのか…。

 この時ゲゲ郎は、その理由がほんの少しだけ理解できたように感じていた。




 ーーして、樹の本心を知ろうと己の見解が正しいか彼女に問うたところ、返答は過去形で述べられ、その意図に気づけなかったゲゲ郎は、暫くの間困惑した表情を浮かべていた。


『でも今は、あなたがいるでしょう?』

 彼女の口から紡がれた言葉を、脳が処理するのにいったい何秒かかったのだろうか。

 気づけば彼女は目の前に居て、そっと手を引き帰ろうと自身に笑いかけているのだ。

 何がどうしてこうなったのか、状況に全くついていけていなかったゲゲ郎は、ただその場で硬直したまま動けなかった。




 ーー白い肌に必然と浮いてしまう火照った頬を、冷たい夜風がそっと撫でながら過ぎ去っていく。


 これ以上は踏み入れてはならないと、己を抑えているその理性がいつまで保ってくれるものかと、行く末に些かの不安を募らせてゲゲ郎は樹の後を追った。

懐かしき人→←偽りの対人関係



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永久瀬(プロフ) - mizuiroさん» いえいえとんでもない!すごく嬉しいお言葉です!今後も気長に付き合っていただけると有り難いです! (12月9日 21時) (レス) id: 8005ed3d7e (このIDを非表示/違反報告)
mizuiro(プロフ) - 永久瀬さん» ご返信ありがとうございます!こちらこそ無理なお願いで申し訳ありません!お話大好きなので今後も読み続けます! (12月9日 20時) (レス) id: 29b3887541 (このIDを非表示/違反報告)
永久瀬(プロフ) - mizuiroさん» コメントありがとうございます!ご要望にお答えできず大変申し訳ないのですが、名前変更を可能にする予定は今のところ考えておりません。今後時間に余裕ができましたら、もう一度考えさせていただこうと思います。本当に申し訳ありません!! (12月9日 19時) (レス) id: 8005ed3d7e (このIDを非表示/違反報告)
mizuiro(プロフ) - めちゃくちゃ好きなお話です!!これ名前変更することって可能ですか?? (12月9日 19時) (レス) @page8 id: 29b3887541 (このIDを非表示/違反報告)
永久瀬(プロフ) - アミさん» ありがとうございます!更新はゆっくりになる時もあるかもしれませんが、頑張って書いていこうと思います!何卒、今後もよろしくお願いします! (12月9日 8時) (レス) id: 8005ed3d7e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:永久瀬 | 作成日時:2023年12月3日 21時

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