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普通の定義 ページ1

私には、幼い頃から見えてはいけないものが見えていた。



ーー『ねぇお母さん。そこにいるの誰?』

「…何言ってるの。誰もいないわよ」

『でも、そこに男の人が立ってる…』

(いつき)!それ以上不気味な事言わないでちょうだい!」

『でも…』

「っ毎回毎回そればっかり!私の頭までおかしくなっちゃうでしょ!お願いだからもうやめて!!」



ーー「ねぇ見た?樹ちゃん今日もまた一人で喋ってたんだよ」

「見た見た!やっぱりなんかおかしいよね。あの子」

「うんうん。正直、気味悪いからやめてほしいんだけどねー」

「ねー!」



「「ほーんと、変な子」」





 ーーそれ故か、私は周りからも、親からも、いつも(けむ)たがられていたのだ。


 私が見えているものとは、一般に幽霊や妖かしと呼ばれる類のものなのだろう。
 しかし幼い頃からソレが見えていた私には、その存在は普通も同然であったのだ。
 その為、時折見えていない周りの方がおかしいのではないだろうかと錯覚を起こす事もあった。



 ーーその結果、誰も信じてくれないという事実を思い知った私は、もう二度とその存在を口にする事はなくなった。




 しかし、いくら口にしなくなったとは言えど、その存在が消える事は勿論有り得ない。

 社会人になった今も尚、私はその存在に翻弄され生きているようなものだ。

 その存在…。(いな)、妖怪とでも呼ぼうか。それらの中には人間との区別もつかない程、この社会に馴染んだ姿をしている者も存在するのだ。










 ーー現に、今私の目前に倒れているこの男が、そのいい例と言えるだろうか。

人間紛いの妖怪→



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永久瀬(プロフ) - mizuiroさん» いえいえとんでもない!すごく嬉しいお言葉です!今後も気長に付き合っていただけると有り難いです! (12月9日 21時) (レス) id: 8005ed3d7e (このIDを非表示/違反報告)
mizuiro(プロフ) - 永久瀬さん» ご返信ありがとうございます!こちらこそ無理なお願いで申し訳ありません!お話大好きなので今後も読み続けます! (12月9日 20時) (レス) id: 29b3887541 (このIDを非表示/違反報告)
永久瀬(プロフ) - mizuiroさん» コメントありがとうございます!ご要望にお答えできず大変申し訳ないのですが、名前変更を可能にする予定は今のところ考えておりません。今後時間に余裕ができましたら、もう一度考えさせていただこうと思います。本当に申し訳ありません!! (12月9日 19時) (レス) id: 8005ed3d7e (このIDを非表示/違反報告)
mizuiro(プロフ) - めちゃくちゃ好きなお話です!!これ名前変更することって可能ですか?? (12月9日 19時) (レス) @page8 id: 29b3887541 (このIDを非表示/違反報告)
永久瀬(プロフ) - アミさん» ありがとうございます!更新はゆっくりになる時もあるかもしれませんが、頑張って書いていこうと思います!何卒、今後もよろしくお願いします! (12月9日 8時) (レス) id: 8005ed3d7e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:永久瀬 | 作成日時:2023年12月3日 21時

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