第13話 ページ13
・
「俺、もっと売れたいねん。どうしたらええと思う？」
『かまいたちさん。今も売れてはるやないですか』
「ちゃうねん。やっぱ東京進出したいし、その為には大阪でボーンっと跳ねな」
『そうですよね。･･･今なら、千鳥さんですかね？上京で大阪のレギュラーをもう何個か抜ける予定だとの事なので、そこの枠をどう立ち回って取っていくかって感じやないですか？あとは、タイミングかと』
「タイミング言うてもどこがタイミングかも」
『ホンマなら賞レースを取れたらが良いんでしょうけど、かまいたちさんはもう取ってはるし。多分、ポスト千鳥としてキャスティングされるんとちゃいます？』
言っていることは間違っていないと思う。これが、当然の流れなのだ。先輩の上京による穴は後輩の実力者が埋める。今なら、かまいたちさん。和牛は、賞レースの決勝には行くが、決定打となる優勝が出来ていない。それが不安だと取られるからだ。まだまだ彼らのタイミングではない。まだ、コツコツと成長して行く彼らは、かまいたちさんの背中に触れられていない。
「話変わるけどさ･･･石井ちゃんって彼氏とか･･･おる？」
『･･･ブフッ、いきなりなんですか？！･･･いないですけど』
少し噎せつつも、濱家さんに返す。すると、濱家さんは、すこし安堵の表情を浮かべて黙り込んだ。私は、既に諦めていた。彼氏とか作らないと、と急ぐ自分がどこか恥ずかしかったのだ。
「･･･その、俺、熱燗さんが女の人やったら告白するって決めててん」
『酔っているんですか？』
「そんな事ないよ。見て？」
指をさされた方向に目を向けると、烏龍茶が積まれていた。今の今まで分かっていなかったのか。そして、自分でも唖然としているのがわかるぐらい、脳内がパンクしそうになっている。ちらっと濱家さんの方を見ると、ただ私を見つめていた。初めて見た時よりも、山内さんに似てきてるな、とか。意外と目が大きいとか。逃げようとして、違う方向に考えようとしている自分がいた。
「俺、好きやねん。石井ちゃんのこと」
じゃあ、私の本心は一体何なのだろうか。私の本心･･･、私の本心･･･。
『よろしくお願いします･･･』
多分、私の本心はこれなんだと思う。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 259人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「芸人」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柊(プロフ) - 完結おめでとうございます！ご本人のキャラ崩壊などが無くてすごく面白かったです！ (2021年9月7日 9時) (
レス) id: 951bb9cd74 (このIDを非表示/違反報告)
妖狼(プロフ) - 濱家さんと夢主ちゃんがどっちも大好き同士でめっちゃキュンキュンしました！更新、気長に待ってます！ (2020年8月29日 23時) (レス) id: 0267bb7316 (このIDを非表示/違反報告)
うら(プロフ) - 最近好きになりつつあって偶然こちらの小説を発見、思わず最後まで読み込んでしまいました。すごく面白かったです！犬っぽい感じが想像出来てキュンとしました。早く次の話が更新されないかとワクワクしながら待ってます。応援してます！ (2020年1月7日 19時) (レス) id: a403eefda5 (このIDを非表示/違反報告)
白桃(プロフ) - 「毒入りキャラメル」かな？（笑）嬉しいなあ。でも明鳥さんには敵わないよ。新作書いてるから更新頑張ってくださいね！！ (2019年2月7日 19時) (レス) id: e1db0d658c (このIDを非表示/違反報告)
明烏(プロフ) - 白桃さん» ありがとうございます！白桃さんの作品いつも拝見させていただいてます。これからも頑張ってください！ (2019年2月6日 19時) (レス) id: 61727da3e8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：明烏 | 作成日時：2019年2月3日 17時
