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脱皮 ページ5

私の染めた髪色を見て母親は絶句した。


キンキンする耳障りな声で罵られると思っていたが、声も出せないほど驚いている様だった。


いつもの涼しげな目元はこれでもかというほど見開かれ、開いて塞がらない口を咄嗟に手で覆いそのまま動きを止めてしまった。


そんな初めて見る母親の様子に私はどこか開放感のようなものを得ていた。


物心ついたときから今までこの人の言う通りにしてきたが

ようやく自分の意思で物事を実行に移せたぞ。


そんな小さな達成感に心が震えていた。




私の髪色や言動に憔悴しきってしまった母親は、私がこの髪のまま登校しようがもう何も言ってこなかった。


登校中は奇異の目で見られ、学校に着くなり職員室に呼ばれ、怒鳴られ、それでも私は何も思わなかった。


ちょっと前の私なら髪を金色にするなんて思いつかなかったたろうし、

周りの目も、先生の怒鳴り声も、怖くて気にせずにはいられなかったのに。


降谷くんパワーかな…?


なんて心の中でちょっと思った。



「なんで髪を染めたんだ」

「…」

「入学してまだ数ヶ月だぞ。夏休みにおかしな連中とでも知り合ったのか?」

「…」

「吉岡、お前、夏休み前のテストの結果あんまよくなかっただろ。それに毎朝の小テストもほとんど点数半分以下だったよな。

そんなんで髪染めるなんて何考えてんだ?そんな暇があったら単語の一つくらい覚えろ!!」


わざわざ大声を出す必要も無いのにどうして声を張り上げるんだろう。

対象を恐がらせたいのか。自分の方が立場が上だと誇示したいのか。


もう全部どうでもよくなったから冷静にこんなこと思えるんだろうな。


何も反応を示さない私に呆れたのか、大きな溜め息を吐き出した担任は最後に

「明日、ちゃんと黒に染め直してこい。いいな?」

そう吐き捨て椅子を回し机に向き直った。





進学校故にことある事にテストを受けさせられ、その度に順位を晒され。


私は下位常連だった。下位中も下位。最下位争いといっても過言じゃない。


そのおかげでクラスメイトは私を見下し、嘲笑い、そんな奴と友達になる人なんて誰もおらず、


あー、教室まで戻るのだるいなぁと職員室の扉を背に重い足を踏み出した。

いっそう彼に→←憧れ



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かものはし子(プロフ) - フライドポテトさん» 励みになるコメントをありがとうございます(*^^*) (2019年9月17日 13時) (レス) id: e4c7a737a2 (このIDを非表示/違反報告)
フライドポテト(プロフ) - めちゃめちゃ好きです。ドツボです。頑張ってください!!!更新待ってます。 (2019年9月17日 2時) (レス) id: 59946ff9b9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かものはし子 | 作成日時:2019年7月23日 18時

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