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吹き飛ばされて消えてしまえ ページ39

私は降谷くんのことが好き…なのだろうか。


『男として好きなんだよ』

『最初からなんとなくそう思ってたよ』


脳内で声が木霊し、ゾクリと震えた。


私が、降谷くんを、好き。


好き?

異性として?


憧れではなく?尊敬でもなく?


降谷くんを異性として好きと。少なくとも二人からはそう見えていたと。


「吉岡!」


諸伏くんの大きな声に驚き、地面を張っていた視線を持ち上げる。


察するに何度か名前を呼ばれていたみたいだ。


「あ…ごめん、何?」

「さっき。いきなり腕引っ張ってここまで走って来てごめんなって」


二、三歩先を歩く諸伏くんの少し丸まった背中は夜に溶け込んでいる。


「大丈夫だよ」


正直今はそれどころではない。


平静を保とうと周囲に意識を散らしても、すぐに降谷くんについて考えてしまう。


感覚を研ぎ澄まして、車の走行音とか、冷たい風の音とか、諸伏くんの持つビニール袋の音とか。


色々な音に耳を済ませて。白い月を見上げて星を繋げて。


…ダメだ。


私は降谷くんのことが好きなの…?

周りからはそう見えるの?


原点回帰とばかりに気づくとそこへ行きついてしまう。


意味の無い自問自答は何も答えは出さないのに。


「一緒にいた人たちに何も言わなくて平気だったかな…?」


諸伏くんはというと私を突然連れ去ったことを気にしているようで、

不安そうにこちらを振り返ってそわそわしては前に歩を進める。


「吉岡と話してた人…怒ってたりしないか?」


あ、そっか。私は彼女たちが見た目に反して怖くないことを知っているけど、諸伏くんはそうじゃない。


そういえば私も声をかけられる以前から怖いと思っていたし、声をかけられたときも心臓が飛び出るんじゃないかと思うほどバクバクしたんだ。


「見た目ほど怖い人たちじゃないから。きっと気にしてないと思うし、諸伏くんもそんなに気にしなくて大丈夫だよ」


そんなに不安そうにしなくてもいいんだよと意味を含めて言葉をかけて、


また、原点回帰。


好き?

違うよ。

これは憧れ。

人として降谷くんが好き。

異性としてじゃない。

好きな人じゃない。


…じゃあ、どうして。


「諸伏くんは…」


冷たい風が強く吹いて。飲み込まれそうなほど小さい声だった。


「ん?」


それなのに彼の耳は私の声を拾って振り返ってくれた。


「どうして、私が降谷くんのこと、好きだと思うの…?」

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かものはし子(プロフ) - フライドポテトさん» 励みになるコメントをありがとうございます(*^^*) (2019年9月17日 13時) (レス) id: e4c7a737a2 (このIDを非表示/違反報告)
フライドポテト(プロフ) - めちゃめちゃ好きです。ドツボです。頑張ってください!!!更新待ってます。 (2019年9月17日 2時) (レス) id: 59946ff9b9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かものはし子 | 作成日時:2019年7月23日 18時

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