夜空はとても綺麗ですね ページ35
「さっっみぃー…!!」
冷たい風を一身に受け、身を縮める。虚しい叫びは真冬の空に溶けていった。
寒い。寒い!!
夕飯に使う牛乳が足りなくなったから買ってきてって言われて駆り出された外めっちゃ寒い!!
スーパーまで行こうと思ったけどこれは無理。寒い。近場のコンビニで済ませよう。
ポケットに手を突っ込んで足早にアスファルトを踏み進めていく。
本格的に寒くなってから、吉岡からのコンビニの誘いはなくなった。
寒くて夜に出かける気は起きないし、きっと吉岡もそういう理由なんだろうとなんとなく思う。
学校で顔を合わせることはあまりないし、会ったとしても知らないふりをするのは相変わらず。
放課後のことはゼロから時々世間話程度には聞いているけど、
吉岡本人と話さない日が続くとなんだか少し寂しい気もする。
コンビニまであと少しのところ。暇つぶしになんとなく澄み切った夜空を見上げ、点々と光る星を頭の中で繋ぎ合わせる。
オリオン座は見つけやすい。
それからおおいぬ座とこいぬ座…で、冬の大三角。そのすぐ上にふたご座…一角獣は…。
そんなことしていたらコンビニの強い光までほんの十数メートルのところまで来ていた。
あー、早く暖まりたいコンビニ入りたい。もう風冷たくてやだ。
はやる気持ちとともに進む足も速くなる。
どんどんコンビニが見えてきて、比例するように徐々に顔が渋くなっていくのが自分でもわかった。
ガラが悪めの…言っちゃえば不良の集団がコンビニ前で屯っている。
おぉ…久しぶりに見た。前にも見たことある人たちだ…。怖いしさっさとコンビニ入ろ…。
ささっと店の中に入ってかじかんだ手をグーパーしながら牛乳を探す。
銘柄?とか指定なかったし適当でいいよな…違いとかそんなないだろ。たぶん。わかんないけど。
とりあえずCMでよく見かけるやつを選んだ。ついでに何かお菓子でも買っていこう。
菓子が陳列されている方へ足を向け、なんとなく外の様子をふっと視界に入れたとき、足が止まった。
…あれ、え、なんで…?
外にいた不良の集団の中に吉岡を見つけた。気心知れた相手なのか、その中の女子と楽しそうに話している。
変な緊張感を抱きながら自然とズボンのポケットにしまってある携帯に手が伸びた。
視線を画面に移す。
吉岡からのメールは俺のところには届いていない。
113人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かものはし子(プロフ) - フライドポテトさん» 励みになるコメントをありがとうございます(*^^*) (2019年9月17日 13時) (レス) id: e4c7a737a2 (このIDを非表示/違反報告)
フライドポテト(プロフ) - めちゃめちゃ好きです。ドツボです。頑張ってください!!!更新待ってます。 (2019年9月17日 2時) (レス) id: 59946ff9b9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:かものはし子 | 作成日時:2019年7月23日 18時