あの夏の過ち。〈降谷零〉 (ページ4)

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憧れページ4

高校生になって初めての夏休み

……の、少し前。

突然私の中で糸がプツンと切れた。

たぶん今まで抑圧されてきた分が一気に爆発したんだと思う。

もうどうでもいい。

勉強も、学校も、母親も。

私は私のやりたいことをやってやる。

そう意気込んだものの今まで母親が用意したレールの上をひたすらに辿って来たものだから

自分がどうなりたいかなんてわからなかった。

そんな時にふと思い浮かんだのは憧れの降谷くんの姿だった。

・

うちの学校はテストの結果を上から下までしっかりと張り出される仕組みなのだが

下位の人間は晒され、恥をかき、闘争心に火をつけ、競争心を煽る、とか。

確かそんな理由だった気がするがよく覚えていない。

まあつまり生徒全員、クラスと名前を校内に晒されるんだ。

そしてその恒例のテスト結果の張り出しにて、降谷零という名前は常に一位に君臨していた。

おまけに彼自身、整った顔立ち、目立つ容姿。

故に同学年で彼を知らない人はいないんじゃないかと言えるほどのちょっとした有名人。

もちろん私も一方的に彼を知っているが、彼を初めてみたのはもう少し前の事。

けどきっと彼は私の事なんて覚えてないだろう。

その事を抜きにしても、レベルの高いこの学校で常に一位をキープし続ける降谷くんに、私は勝手ながら尊敬の念を抱いていた。

・

そうだ。

夏休みに入ったら降谷くんみたいな髪色にしてみよう。

そうしたらちょっとでも彼に近づけるんじゃないか。

それに私が金髪にしたら母親は落胆するに違いない。もしかしたら涙を流すかもしれない。

そう思うととても心が晴れやかになった。

そして夏休みに入り、

憧れている彼の髪色になるよう自分で染めた。

けど、思ったような色にはならなかった。

…なんか、あんまり綺麗な色じゃない。

降谷くんはあんなに綺麗な蜂蜜みたいな色なのに。