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たぶん、友達未満 ページ11

大丈夫だよ。

平気だよ。

家すぐ近くだから。


そればかりを繰り返し、申し訳なさそうにする吉岡さんに苦笑する。


「もし何かあったら危ないからさ」

「でも…」


そんなに送られるの嫌なのかな…。

特に仲良くもないからただ単に気まずいから嫌とか…?


頑なに「心配だから送らせて」と言い続けて、ようやく吉岡さんが折れた後は


「毎日暑いよな」

「うん。早く寒くなってほしい」

「俺、風呂出てすぐコンビニに来たよ」

「ふふ、お風呂上がりって暑いよね」


ぽつぽつと軽い世間話をできるような距離感にはなれたと思う。


「そういや夏休みの課題の量、多くない?」

「多い。進学校だから仕方ないのかなぁ」

「毎日何かしら小テストあるしな」


短い会話をいくつも交わして、やっぱり吉岡さんはいい意味で普通だった。

声が大きいわけでも、流行りの言葉を使うわけでも、言葉遣いが荒いわけでもなく。


だからこそ頭の片隅にこびり付いて離れない疑問。


「…吉岡さん。一つ聞いていい?」

「うん?」

「髪、いつ染めたの?」

「んー…夏休み入って、すぐ」

「…何で染めたの?」


その質問に、彼女は曖昧に笑った。


…踏み込みすぎたか。


ほんの数十分前まで他人だったわけだし、今も友達かと聞かれればたぶん違う。


「ごめん。言いたくなかったらいいんだ。

ただ、なんか…吉岡さんと金髪が結びつかないっていうか…なんで染めたのかなって」

「あ、言いたくないとかじゃなくて…」


彼女の中で何か悩んでいるのか、「うーん…」と唸り声が聞こえる。


「あんまりいい話じゃない、と思うし…引かれるかもしれないと思ったら、ちょっとね」


へらりと笑い、えっとね…と吉岡さんはぽつりぽつり言葉を紡ぎ始めた。



今まで母親の言う通りの道を進んできたこと。

今の学校も母親の意向で受験したが、吉岡さん本人はもう少しレベルを下げたところがよかったこと。

母親の期待に応えるために毎日毎日死に物狂いで勉強をしたこと。運良く合格したこと。

入学してから予想通り勉強についていけなくなったこと。

それに対しての母親の言葉に心が折れたこと。


ゼロに憧れていて、髪色はゼロに近づけたらしい。


「…そっか」


だからゼロとよく一緒にいる俺の事を知ってたのかな。


妙に頭は冷静で。

だから吉岡さんの髪色はどこか浮かんで見えたんだなと納得した。

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かものはし子(プロフ) - フライドポテトさん» 励みになるコメントをありがとうございます(*^^*) (2019年9月17日 13時) (レス) id: e4c7a737a2 (このIDを非表示/違反報告)
フライドポテト(プロフ) - めちゃめちゃ好きです。ドツボです。頑張ってください!!!更新待ってます。 (2019年9月17日 2時) (レス) id: 59946ff9b9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かものはし子 | 作成日時:2019年7月23日 18時

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