素朴な疑問 ページ48
午後。
書記長室を訪れれば、そのままそこで書類のお手伝いをする事になる。
初めは戸惑ったが、着実に1枚ずつこなしていくと、不安定なタワーは少しずつ数を減らしていった。
tn：「いやぁ〜、ホンマ助かるわ。ありがとうなぁ。」
何度も何度もお礼を言うトントン様は、大分目の下のクマが酷い。
『寝てください』と言いたいのは山々だが、彼が居てくれないと分からないことが多くて。負担を減らせるように、となるべく早く作業することしか出来ない。
あらかた片付いたか、というところで「一旦休憩しよう」と、トントン様がお茶を持ってきてくれる。私にくれたのは紅茶だが、彼のはすごく苦そうなブラックコーヒーだった。
tn：「お疲れさん。今日は書類ばっかさせて、すまんなぁ。」
ふるふると首を横に振れば、「そうすると思った」と言うかのように彼は苦笑する。おもむろに棚の上のカゴに手を伸ばし、1枚のクッキーを取り出すと、「ん。」と私に手渡した。
ありがたく両手で受け取り、包装をぴりりと破る。サクッ…と齧った音が、部屋にちょっとだけ響いた。
tn：「なんか…困っとる事とか、聞きたいこととかあらへんか？何でも言ってええんやで。」
よく周りを見ている書記長様らしい質問に、思わず笑みがこぼれる。そう無い機会だから、と考え込むと1つの質問が思い浮かんだ。
いつものように胸ポケットからメモ用紙とペンを取り出し、サラサラと書いていく。やっぱり優しいトントン様は、最後まで書き終わるのを待ってくれていた。
tn：「え〜っと…。"なぜ此処の人達は、私の事をこんなにも信用してくれるのか"…？」
書いた紙を見せると、彼は首を傾げ渋い顔をする。
tn：「予想外の質問やなぁ。まぁ、う〜ん…。なんでやろ…？」
言葉を濁し、真剣に考え始めるトントン様に、そこまで悩む事なのかと若干焦ってきた。やっぱりいいです、と伝えようとした時。彼はポツリと話し始める。
tn：「まぁ、疑う要素もないし…。本人に言うのもあれやけど、身辺調査とか、身元確認とかさせてもらっとるから…。」
バツの悪そうな顔をする彼に、首を縦に振ればいいのか、横に振ればいいのか分からない。なんとなく気まずい雰囲気が漂い始める中、誰かが扉を雑にノックした。
2人してパッと顔を上げると、入ってきたのはシャオロン様とチーノ様。どちらも書類らしき紙の束を抱えている。
ci：「はぇ…？なんやこの空気。」
チーノ様はそう言った。
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ミノリ(プロフ) - あんさん» コメントありがとうございます！！！めちゃめちゃ嬉しいです！！なるべく早く更新できるよう頑張りますね！ (2021年2月1日 11時) (
レス) id: e01edd4ee3 (このIDを非表示/違反報告)
あん(プロフ) - とても面白いです！！！つい読みいっちゃいました！！！ (2021年2月1日 0時) (レス) id: b9be5feb1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミノリ | 作成日時：2020年9月28日 11時
