あらしの後に ページ38
??：「あら…。今日はまた一段と…。」
後ろから声がして振り返ると、軍師のエーミール様が立って此方を見ていた。私と目が合うと、色素の薄い瞳を細くして、にっこりと微笑まれる。
em：「あっ、Aさん。…ロボロさんが被害にあっているところを見るに、よく巻き込まれませんでしたね。」
倒れている幹部の皆さんを見て、苦笑いを浮かべる。
すると、さらにその後ろから沢山の人影が近づいて来た。よく見ると、前会ったゾムさんの部隊の方たちのようで。訓練終わりなのか、皆さん疲れの様子だったけれど、突っ伏している5人を見た途端「また隊長が…。」と揃って声を上げる。
「うちの隊長が、ご迷惑お掛けしました。」
私とエーミール様にお辞儀をして、隊員の人たちと一緒に5人を運んで行ってくれる。副隊長さんは、「またウチの隊に遊びに来いよ！」と言ってくれて、他の皆さんも笑顔で手を振ってくれた。
去っていった後、私は1人になり、立ち尽くす。冷静に考えてみると、此処に残ったところでついていくべき人が居らず、どうしたらいいか分からない。
(これは、困ったなぁ…。一緒に運ぶべきだったかも…。)
今更そう思ったところで…という感じだけれど。取り敢えず、下手に動いたりせず自室に居ようと思い、食堂を出ると、エーミール様に引き留められた。
em：「Aさん。この後のご予定は、もうお決まりですか？」
ふるふると首を横に振ると、「宜しければ、紅茶でも飲みながらお話しませんか。」とのこと。その誘いに頷くと、エーミール様は嬉しそうに笑って「それでは図書室の方で…。」と案内してくれた。
着いた場所は、見たこともないほどの沢山の本が、書架の高いところにまで収められていて。入ってすぐの広間には、テーブルセットが等間隔に並べられている。
「此方に座って、ゆっくりしていて下さいね。」と言われたので、ソファに腰かけ辺りを見渡した。古びた本の紙の匂いと、程よい静けさがとても心地よい。
em：「お待たせ致しました。今日の紅茶は、ピーチアールグレイです。良い桃の香りがするでしょう？」
目の前に置かれたカップからは、湯気と共に甘い香りが上り、辺りに漂っていく。穏やかな雰囲気に緊張もほぐれ、物腰柔らかなエーミール様のおかげで、リラックスしてお話しすることが出来た。
em：「もし本がお好きでしたら、此処から借りることも出来るんですよ。私もよく此処に来る…というか、もはや居着いているほどですね。」
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ミノリ(プロフ) - あんさん» コメントありがとうございます！！！めちゃめちゃ嬉しいです！！なるべく早く更新できるよう頑張りますね！ (2021年2月1日 11時) (
レス) id: e01edd4ee3 (このIDを非表示/違反報告)
あん(プロフ) - とても面白いです！！！つい読みいっちゃいました！！！ (2021年2月1日 0時) (レス) id: b9be5feb1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミノリ | 作成日時：2020年9月28日 11時
