決断 ページ29
私の気持ち。
私が、どうしたいか。
そんなの、ずっと前から分かっている。
でも、分からないふりをしていた。
そう思わないようにしてきた。
いつも一緒に居てくれた人が、突然いなくなること。それがどんなに悲しくて、辛くて、苦しいか。
その感情を知っていたから、私は今までこの狭い世界で生きていたのに。
広い世界を少しでも覗いてしまったら、後戻りできないと分かっていたのに。
此処の人たちは、皆優しくて、温かい。
だからこそ、『守りたい』と思ってしまった。
”皆を救う、光になると思うんだ。”
そうなりたい。…でも、現実はそんなに甘くない。
私が足を引っ張るかもしれない。
その上、もし私が死んでしまったら、父さんは…。
決断が出来ず、しばらく沈黙が続く。そんな空気に耐えられなくなったのか、ゾムさんが私にある提案をしてくれた。
zm：「あ、のさ…俺が口挟むのもあれなんやけど…。こーゆうのって人生変わるもんやし、そんなすぐ決められんと思うねん。せやからさ、返事は後日…ってことにせぇへん？ほら、ロボロとかよく店行くんやし、別に今ここでじゃなくてもさ！」
rb：「せ、せやな！考える時間欲しいよな。急がせてしもうてごめん。」
ゾムさんが私の肩をポンと叩き、ロボロさんには頭を撫でられる。
気を遣われてしまった事に申し訳なく感じながらも、その厚意に甘えることにした。
・・・
帰りの馬車の中、ゾムさんと少し話をする。
zm：「今日は…色々、疲れたなぁ。まあ、ほとんど俺のせいやけど。帰ったら2人ともゆっくり休んでな？」
「有難う御座います。あの…、私がお願いしたわけですし、ゾムさんのせいでは…。」
zm：「あー！！おっちゃん、それ言っちゃアカンやろ？！」
ちらりと父さんの方を見ると、父さんはおどけた様子で私に笑いかけた。
「まあ、そういうことだ。騙してすまんな。」
私はその言葉に苦笑しながらも首を横に振る。するとゾムさんは、安心したように息をついた。
zm：「あ〜、良かったぁ。俺ワンチャン親子の仲に亀裂が入るかな〜って心配したわ。」
「ふふふ。大丈夫ですよ。」
そう話しているうちに馬車が止まり、着いたことを知らせる。
馬車を降り、ゾムさんに感謝を伝えた。
zm：「んじゃ、また来るな！」
「はい、お待ちしております。」
私と父さんは、引き返していく馬車が見えなくなるまで、手を振って見送った。
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ミノリ(プロフ) - あんさん» コメントありがとうございます！！！めちゃめちゃ嬉しいです！！なるべく早く更新できるよう頑張りますね！ (2021年2月1日 11時) (
レス) id: e01edd4ee3 (このIDを非表示/違反報告)
あん(プロフ) - とても面白いです！！！つい読みいっちゃいました！！！ (2021年2月1日 0時) (レス) id: b9be5feb1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミノリ | 作成日時：2020年9月28日 11時
