本気の戦い ページ20
沢山の目に晒されたこのフィールドで
私はゾムさんと向き合う。
こんな状況で、手加減なんか出来るはずもない。
しかし、力を調整しなければこの武器では深い傷を負わせてしまうことになる。
スモールソードは、刺突に特化した武器だ。
それ故に、"寸止め"というのがとても難しい。常に剣先と、相手との距離感を把握しなければならないからである。
柄を握り直し、使い慣れた剣の感覚を思い出す。
この広さと、愛用の武器があれば、前とは全く異なる戦いが出来るはずだ。
「ではお二方、準備は宜しいでしょうか？いきますよ。よーい…始めっ！！」
そして、その言葉を最後に、辺りは静寂に包まれた。
様子を見るために、突きの姿勢で構えて待つ。
ゾムさんは攻撃を仕掛けてこない。気を抜いたように立っているが、どこにもスキは無かった。
ニヤリと笑いを浮かべて、「来い」と手招きをしている。
それを確認した私は、ゆっくりと。そして徐々に速度を上げて、近づいていく。
十分な速さと、あと少しで剣が触れるという距離で。
私は上に飛び、勢いに任せて武器を振り下ろした。
ゾムさんは、その攻撃を容易く躱す。
―――ここまでは、予想通り。
地に手をつくと同時に、思いっきり足を回す。
後ろから足を掬わせて、相手の体勢を崩した。
(よし、やれる！！)
すぐさま懐に潜り込み、剣先を突き立てる。
…が、
その攻撃はナイフによって弾かれ、その一瞬で。
私の服の襟は、ゾムさんに掴まれていた。
zn：「Aちゃん…。俺は”本気で”って行ったんやで？もっと殺す気で来いや。」
そう言ったゾムさんから殺気が溢れ始めた。
背筋がゾッとし、冷や汗が流れる。
私はあらん限りの力を使って、ゾムさんを突き飛ばした。
(殺す気で…。それなら、もう、余計な事は考えない…っ！！)
もはや力の加減など、頭に残ってはいなかった。
ちょうどその時、強い風が吹く。
敵の目元が露わになり、瞬きするのがスローモーションの様に見えた。
その瞬間を逃さず、一気に距離を詰める。
敵は遅れながらもそれに反応し、武器を構えた。
僅かな時間で考えをめぐらせ、攻撃を変える。
わざとナイフに剣先を当て、それを支点に頭上を一回転した。
足を着けることなく、剣を引き、敵の首に躊躇うことなく突き下ろす。
私は、確信した。
―――この勝負はもう終わりだろう、と。
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ミノリ(プロフ) - あんさん» コメントありがとうございます！！！めちゃめちゃ嬉しいです！！なるべく早く更新できるよう頑張りますね！ (2021年2月1日 11時) (
レス) id: e01edd4ee3 (このIDを非表示/違反報告)
あん(プロフ) - とても面白いです！！！つい読みいっちゃいました！！！ (2021年2月1日 0時) (レス) id: b9be5feb1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミノリ | 作成日時：2020年9月28日 11時
