堕天使の楽園［ヒプノシスマイク］

△ Adonis 〜sorrowful remembrance〜 ページ3

『ただいま』

独り言のように、呟く。


まぁ、誰もいないし…


『…は？』

私のでない靴が一足。


誰かいるんだけど？！

警察呼ぶ？

でもな、不登校ってバレるし…


「あら、貴方おかえりなさいませ」


玄関にやってきたのは…


『幻太郎！！何してんの？！不法侵入だけど！』


色々と世話になっている、夢野幻太郎…さん。


「貴方、どうしたの？ここは私たちの愛の巣でしょ？」


…いつもの面倒くさく芝居が始まる。


『帰ってください。』


「わかりました。帰りますよ。」


『何で勝手に他人の家に来てるの？この家、私のものになったでしょ？』


「…そうでしたね。貴女が自分でお金、出せるようになるまでが約束でしたね」


約束っていうのは、まぁ話せば長くなるけど、


私は中学卒業の頃から、とあることを始めた。


そのためにはそれまで住んでいた家から引っ越さないといけなかった。


しかし、引越し先の家賃は馬鹿高くて、私には到底、払うことは不可能だった。


そこで、かくかくしかじかあって知り合いだった幻太郎を部屋の持ち主にして家賃を払ってもらうことになった。


正確にいうと、彼から払わせてくれと言われたのだけど、


ただし、その、あることが成功してお金を出せるようになったら、私のものにして良いがそれまでは幻太郎のものなのだから一緒に暮らすといういう条件付きで。


『じゃーね、幻太郎』


手をひらひらさせて、自室に帰ろうとする。


少し、嫌なことがあって、独りになりたかった。



「……A、たまには小生を頼ってくださいね？」


『……いきなり何？』


「嫌なこと、あったのでしょう？」



……この人は昔から、すぐ人の感情を見抜く。


ほんと、調子狂うなぁ…

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