25 護身術だよ ページ25
「何が聞きたいの？」
ロシア人の父と日本人の母を持つ、箱入り娘だったA。好きなものは美味しい食事。
男の趣味で言うと…殺しても死なないような奴。
死線をくぐり抜けたのはきっとこれが初めてというわけでもないのだろう。彼は軍人なのだから。
どうやら尾形をそこそこ気に入ったようだ。そういえば危ないところを助けてもらった恩もある。
「なら聞こう」
「はいっ」
「一人で旅をする目的は」
「前にも言ったけど、ただの旅行で…」
「殺しの技術はどこで学んだ」
「……、えっと」
なんでも聞いていいと言った彼女だったが、早速言葉をつまらせた。別に言いたくないわけではない。
どう説明していいのか分からなかったのだ。
宿屋のこじんまりとしたベッドの一つに腰掛けるA。少し離れた壁際に背を預けていた尾形だったが、銃や外套を置いて身を軽くするとAの隣にドカッと座る。
「なあ。仲良くしたいんだ、俺は」
先程首を締められかけた時にも思ったが、Aは特別怪力なわけではない。
ただ身のこなしが素晴らしかった。男の力には敵わないにしても、不意打ちで素早く片付けることが得意なのだろう。つまり接近戦が強い。
尾形の戦闘スタイルは専ら銃によるスナイプ。
近接攻撃に関していえばそれに及ばない。そこを彼女にカバーさせればいい。
なんとも狡猾なこの男はそんなことを考えていた。
嘘くさい笑みを浮かべてAの肩をぽんぽんと叩く。
「殺しだなんてやだな。護身術だよ！」
Aは肩をすくめた。
尾形からすれば彼女の嘘は分かりやすすぎて責める気にもならない。下手な嘘に呆れる。
誰がどう見ても女が自身の身を守るための護身術、という枠組におさまる動きではなかった。
だが、この話にはまだ深く触れないでおこう。なんとなくそう思った。
尾形は伸びた自らの髪を前から後ろへかき撫ぜた。
「質問を変える。俺をどう思う」
男としてどうか…という意味で聞いたのではない。
そんなことはこの流れで彼女も分かっているだろうと。
しかし、どうだろう。
Aはさっきまでの微妙な表情から、たはーっとこっ恥ずかしそうに明るい表情になった。
「まあまあ好き。白いご飯の次くらい」
彼女の中で白いご飯がいかほどの順位であるのか分からないので、尾形はまた真顔になる。
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メルテア(プロフ) - 炊きたてのお米くらいあっつあつじゃん？でもう笑いすぎて感想書いちゃいましたww主人公面白すぎるwww神作品ありがとうございます！！m(_ _)m (8月31日 8時) (
レス) @page28 id: 296f866ede (このIDを非表示/違反報告)
Chloe(プロフ) - 蛙奈さん» 蛙奈様へ。ありがとうございます！私の中で鯉登は普段ピュアピュアなのにたまに男らしさを見せるカッコイイ奴って感じだったりします！鯉登もちょいちょい絡んできますのでまた読んでいただけると嬉しいです！ (2021年10月10日 20時) (レス) id: b0de3b5808 (このIDを非表示/違反報告)
蛙奈(プロフ) - 鯉登少尉のピュアさに悶絶して思わずコメントしました…私自身鯉登少尉推しなのでとても嬉しいです！頑張ってください！ (2021年10月10日 16時) (レス) id: dbf954f045 (このIDを非表示/違反報告)
Chloe(プロフ) - 蛙奈さん» 蛙奈様へ。はじめまして！コメントありがとうございます！嬉しいです。色仕掛けちょいちょい出す予定です(笑)素敵なご感想ありがとうございました！ (2021年10月7日 19時) (レス) id: b0de3b5808 (このIDを非表示/違反報告)
蛙奈(プロフ) - コメント失礼します。とても面白いです！特に尾形の色仕掛けが色んな意味でドキドキしました！主人公の食いっぷりも読んでいてお腹が空いてしまいます。素敵な作品！更新待ってます。 (2021年10月7日 17時) (レス) id: dbf954f045 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Chloe | 作成日時：2021年10月5日 1時
