マトリョーシカ２ (ページ8)

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勢い余って外に出たのはいいものの、ヤスくんの家なんて知らないし、こんな夜中に電話するのも迷惑かな、とか

電車もないのにどうやって行こうとしてるんだ、とか

外に出て、冷やされた頭で、やっと冷静になれたことを悟る。

明日からまた仕事だし、そろそろ寝ないと明日が辛いぞ、と思いながら、ヤスくんに降ろしてもらったコンビニへ向かった。

｢あ、｣

見覚えのある、車。

いつからいたの？

何してるの？

わたしを待っていた訳じゃないかもしれない。

誰か違う人と待ち合わせをしてるのかも。

それでも、こうして出会えたことは、なにかの思し召しかも、だなんて

柄にもないこと思ったりして

運転席を覗くと、キャップを深く被ったヤスくんが、背もたれを倒して横になっていた。

コンコン

窓を軽く叩く。

眠っているのか反応がない。

どうしよう…せっかく会えたのに…

話したい

伝えたい

が自分の中でMAXになっている今のうちに、

怖気付いてしまう前に、

そう思うのに、ここから先、どうやってもう一歩を踏み出せばいいんだろう

このままここにいても周りの人に怪しまれるかも、と思い、わたしはコンビニの中へ入る。

いらっしゃいませー

深夜のアルバイト君の低い、やる気のない声に、なぜだか元気づけられたような気がした。

缶コーヒーを買おうとして、でもブラックか微糖で迷っていた時、｢すみません｣と後ろから透き通るような声。

｢あ、ごめんなさい…｣

おずおずと後ろに下がって場所を空けると、彼女はニコッと笑ってブラックコーヒーを手に取った。

どっかで見たことあるような顔だな

雰囲気とか、どっかで……

そう、最近……

やる気の抜けたアルバイト君に｢ありがとうございましたー｣と言われて外へ出る彼女を見てわかった。

あぁ、あの週刊誌に一緒に写ってた人だ…

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