ファン家のマンネは紅一点３ (ページ10)

今日:8 hit、昨日:40 hit、合計:313,020 hit

２ページ10

.

私を抜かして始まったディノによるメンバー顔面序列ショーを横目で見ながら、撮影に関係しない女の人を集めると、私を含めて六人になった。

メイクさんや衣装さん、それにカメラアシスタントさんやこの島でのコーディネーターさん。

この島に来てから、寝食自体はメンバーで集まっている。

それでもお風呂やメイクの時間は、この人達の借りているすぐ隣の家で過ごしているので、三日も経てばもうそこそこの関係は築けていた。

その人たちを部屋の隅に召集して座り、円になって会議を始める。

『A、うまく逃げたね』

いつでも綺麗な顔をしたメイクさんがにやりと笑みを浮かべながら、茶化すような口ぶりで言う。

『私達も巻き添えにして～』

「だって本当に嫌なんですもん、こういうの」

『どうして？』

「……後からどれだけ冗談だと言っても、放送を見た極一部の人たちの中に、これを本気だと捉える人が出てくるものなんです」

『恋愛関係に結び付けて怒る人もいれば、妄信して応援する人もいるよね』

『へえ、面倒くさいのね』

普段のサイン会やちょっとした小話程度なら「お兄ちゃんが一番ですが、二番目は～」と枕詞を付けてしまえばいいけど、テレビの収録になるとそうはいかなくなる。

どこで切り取られてしまうのか私には予想も出来ないからだ。

じゃあこういう収録でそう聞かれる事は無いのかと言われれば、そうでもない。
むしろ良くあったりする。

いつもなら少し話を広げた所で誰かしら助け舟を出してくれるのに、今日はそれが無かった。
みんな疲れてやけになっているんだろう。

「……それで、お姉さん達は誰が一番輝いてましたか？」

『ミンギュ』

『ミンギュかなぁ』

『だよねぇ～』

『あの子がいなかったら皆どうやって過ごしてたのかな？』

『死んでたんじゃない？』

「……他に候補は？」

『いると思う？』

『いないでしょ』

「まあ、この漂流中のMVPは間違いなくミンギュですよね」

メイクさんが「はい、決定～」とあっさり決めてしまった。

それに皆笑顔で頷いたので、意義なんて一つも出てこないんだろうな。

.