ファン家のマンネは紅一点３ (ページ42)

今日:11 hit、昨日:24 hit、合計:313,047 hit

BOOMBOOMよもやまページ42

A視点

「寒い、死んじゃう」

「生きて……ヌナ……」

飛行場のような吹きっさらしの野外のど真ん中で、火を囲んだスングァニと肩を寄せ合って暖を取る。

暖を取るなんて言うけど、取った途端に低すぎる外気が熱を奪っていくんだから無常にも程がある。

こうも寒いと分厚くて丈の長いダウンでさえ、なんだか意味の無いような物に思えてしまうから不思議だ。

目の前で燃える炎に手を翳していると、困ったような顔をしたジュニヒョンと目が合う。

そのままダウンを脱ごうとでも言うのか、ファスナーを下ろそうとした。

SG「何してるんですか、ジュニヒョン。死にますよ」

__「寒さで頭でもやられちゃったんじゃ……」

JN「ううん。Aもスングァニも寒そうだし、貸してあげたほうがいいかなって」

__「ひえっ」

SG「雪山では……雪山では優しさを見せた者から死んでいくんですよ……！！」

JN「ゆ、雪降ってないけど……ここ、山でも無いし……」

__「わたし、ジュニヒョンには絶対生き抜いてほしい。なんと言っても顔が良い上に性格も良いから」

SG「すみません、ヌナ。僕にも言って貰っていいですか？」

__「スングァニも可愛くていい性格してるから生きて」

SG「うーん、ちょっとニュアンスが違うような……まあいっか」

そそくさとジュニヒョンの元へ動いたスングァニが、中途半端に下ろされたダウンのファスナーを勢いよく上げた。

首が締まったのか「うっ」と目をぎゅっと閉じたジュニヒョンを満足そうに眺めた後、頷きながら私へ親指を立てた。

任務は完了したらしい。
火に伸ばしていた手を持ち上げて敬礼を返す。

そのままスングァニ隣に戻ってきて、また私にぴたりとくっついた。

私達の十数メートル先に立って、一人で撮影しているハニちゃんを見つめる瞳はなんだか悲しげだ。

__「ハニヒョン、風邪引かないといいな」

SG「言っておきますけどヌナ。この後あなたも僕も、このダウンを脱いであそこで踊るんですからね」

__「うっ、涙で前が見えない」

JN「A、スカートだもんね」

__「今履いてる下のジャージ、絶対に脱ぎたくない」

SG「ダメです」

JN「か、可愛かったよ！スカート！」

__「すごい。ジュニヒョンの誉め言葉なのに何の慰めにもならない……！」

SG「それは重症ですね」

__「そもそもこの寒さで踊れると思う？」

身体を震わせながらスングァニに聞くと、黙って首を振られてしまった。

.