ファン家のマンネは紅一点３ (ページ28)

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「ジョンハンさんはどうでした？」

「何が？」

「練習生たちの事ですよ」

「ああ……とりあえずチェスンチョルはそのうち倒れると思うよ。それこそさっき言ってた心労で」

「私もそう思います」

「それに、思ってたより全体の空気が張りつめたまま変わらないって言うか……ずっとあんな感じなの？」

「ここ最近ですね。人の出入りがあると」

「ふーん」

「スンチョルさんは、」

そこで言葉を止めて、Aがどう言おうか迷うような顔をした。

口出しせずに待っていると、時間を掛けてAが口を開いた。

「実は、私にジョンハンさんを引き留める様に頼んできたのはスンチョルさんなんです」

「はあ？……いや、待った……A、オレの事引き留めてたの？」

「こうして私が誰かを引き留めるのって初めてで……言ったじゃないですか、私は要領が悪いんだって」

「それにしても下手くそすぎるだろ」

「……正直、辞める辞めないの意志を私がどうこう出来るなんて思ってません」

「うん」

「ただ、スンチョルさん……なんて言うか、その……」

「なに？」

言葉を小さく濁したAが、意を決したようにオレへ尋ねてくる。

「ジョンハンさんはスンチョルさんが過労死しそうな事以外はどういう風に見えました？」

「……そこまで言ってないけど」

「すいません、つい私の本音が」

「……まあいいや、チェスンチョルはずっと怖かったよ。いつもしかめっ面してて、触ったら破裂しそうで」

「私もそう思います」

「あの人って、ああやって自分のこと追い込むの好きなタイプ？」

「違うんです。スンチョルさん、ああ見えて中身は結構……」

「結構なに？」

「赤ちゃんというか、幼児というか……甘え癖もあるし……」

「ええ……」

「相当無理してるんだと思います。一番上だから、自分がどうにかしないとって」

「そういうのを独りよがりって言うんだよな」

「不器用なんですかね？」

困ったようにオレへ尋ねてはくるけど、そんな事オレよりAの方がよく解ってるはずだ。

不器用に決まってる。

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