ファン家のマンネは紅一点３ (ページ11)

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うーん、さすがヌナキラー……

心の中でそう感心していると、コーディネーターのお姉さんの手が向かい側から伸びてきた。
そのまま私の手を取って、申し訳なさそうな顔をして話しかけてくる。

『ごめんね、A。監督に何度か私たちの方でAを寝かせるように頼んでみたんだけど……』

そう言って、語尾を濁した。

きっと「ダメだ」と断られたんだろう。
ここに来た女の人はわりと私に同情的で、結構裏で進言してくれているらしい。

『あの監督、本当に取れ高が～としか言わないんだよね』

「あはは、私も言われました」

『元の宿舎でも一緒には生活してなんだっけ？』

「そうです」

『っていうか、こうやって夜を一緒に過ごすのも初めてでしょ。可哀想に……』

「夜は一人で部屋を使ってますし、メイク道具やお風呂もお姉さん達に借りてるし、むしろ私は皆より恵まれてますよ」

と、言っておいてなんだけど、実際のところ不都合なんか山の様にあった。

だけど、この数日間を耐えられないほどではない。
第一、ここで私が「嫌だ！」とごねたところでどうにもならないし、ただただ印象を悪くするだけだ。

掴まれていた指を握り返して、安心させるように頷いて見せると、コーディネーターのお姉さんが弱々しく息を吐き出す。

『……ミンギュはやめてAにしようかな』

『火起こしの時かっこよかったもんね』

『そういえば、Aは誰なの？』

「はい？」

『そう、ずっと聞きたかったの！Aは誰が一番かっこよかった？』

きゃっきゃっと盛り上がる声に目を閉じると、隣にいたカメラアシスタントさんが私の肩を叩いた。

『今マイク外れてるし！カメラもこっち向いてないし！』

「そう聞かれるの、困るって言ったばっかりなのに……」

『でも聞きたくなるんだよね～不思議～！』

『顔でも良いよ』

『Aは誰が一番好きなの？』

「全員似たり寄ったりじゃないですか？」

『ええ……』

五人ともちょっと引いた顔をして私を見るので、後ろを振り返ってメンバーを見る。

最初に目に飛び込んできたホシヒョンが「Aがオレを見てる！……オレだ！」と大袈裟に騒ぎ、スングァニから容赦なく口を押さえられていた。

誰がかっこいいなんて決まってる。

「うちのグループは皆かっこいいですから、誰を選んでも後悔はしないと思いますよ」

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