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クプスヒョンがヌナの下ろした髪の毛を、宝物だとでも言うような手つきで撫でた。
こうやって露骨に甘えられれば、ヒョンもさぞかし可愛く思うだろうなぁと、なんとなく小さい頃の弟を思い出す。
__「今日が命日……」
MH「そんな大げさな」
__「良い事を思いついたんですけど、一切笑わなくていいならマネキンでも置いておけばいいじゃないですか?」
SC「それこそ恐怖映像になるだろ」
大きく息を吐き出したAヌナが、音を立ててソファに埋もれていく。
これだって本気で抗議しているわけじゃないことくらい僕にだってわかる。
ヌナが僕達以外に文句を漏らすことは無いし、それこそ日常会話レベルの軽口なのだ。
一歩外に出て身内じゃない人間が加われば、嫌な顔一つ見せる事無くこなしていくのは全員が知っている。
今回はただ単に、一人だけ違う役割なことを気にしているんだ。
まあこのくらいの愚痴をここで消化してくれるのは、ヒョン達にとっても逆にありがたいんじゃないかな。
__「じゃあ私じゃなくて誰かを女装させるとか」
WZ「誰が喜ぶんだよ」
SC「想像して泣きそうになった」
デビューする少し前、周りの目を気にしすぎて人形のようになってしまったヌナを思い出す。
「思ってることは口に出さないと伝わらないよ」とシュアヒョンから諭されて以来、ヌナはこうやって、たまにではあるけどヒョン達へ胸の内を教えてくれるようになった。
心に溜めずに、目に見えていれさえすれば、僕達だって少なからず安心する。
それでも見かねたミョンホヒョンが、ヌナの前に移動して膝をついた。
MH「オレ達がAの代わりに他の女の子を使ったら嫌じゃない?」
__「……嫌だけどお仕事だから割り切るよ」
SC「すごいなA、心がちっとも籠ってないぞ」
MH「オレは逆だったら嫌なのに?」
そう言うと、ヌナが身体を起こしてミョンホヒョンへ「何が?」と尋ねる。
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作者名:せの | 作成日時:2019年8月22日 10時