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「正直私は、このグループでデビュー出来ないのかもしれないと思いました。言っても良い事なのかは解らないですけど、まあみんな知ってるだろうし……最初は女の子が三人いて、でも私以外辞めてしまったんです。なので、いつか外されるんだろうと、本音を言えばずっと気が気じゃななかったんです」
正直今でもそう思っているけど、今それを言うのは不和の火種になりそうだしやめておこう。
反応はおおむね想像通りだ。
みんな知っていたらしい。
スンチョリヒョンを一瞬確認すると、眉を下げて目を細め、なんとも気まずそうな顔をしていた。
後から私も一緒に怒られるから、今だけは我慢してほしいと心の中でお願いをする。
「色んな人とたくさん話しました。社長や副社長、外部の顧問の方、ウジヒョンと作業を共にしているお兄さんたち、そして先輩方、家族、」
その一言に、また声が上がった。
有難い事にお兄ちゃん達のファンの方も来てくれているとスタッフさんからも聞いている。
推しの妹って、いったいどういう目線で見るものなのかな。
可愛いと思ってくれているのだけは、なんとなく肌で感じ取る事も出来た。
まあ、私も一期から入っている同士ではある。
「でも、迷う事は無かったです。たくさんの苦難を『一緒に乗り越えたら良い』と言ってくれたリーダー達、同じ道を歩んでくれる事に頷いてくれたメンバーの皆、そんな私達を応援してくれると集まってくれた皆さん、本当にありがとうございます」
そこで息を切って頭を深く下げると、喚声と拍手の音が会場内を響く。
ハニちゃんが、労うようにトントンと私の背中を叩いてくるから、ゆっくりと顔を上げた。
高い位置で束ねていたポニーテールが肩に乗り、それを手で後ろに流してからマイクを口元に戻す。
ぐだぐだと続けてしまったけれど、結局私がしたいのはこの話だ。
「有難い事に今まで皆さんからいただいた言葉はどれも暖かいものばかりでした。それでも、心の中で不安に思ってることがいくつかあると思います。男女混合ユニットという体裁で始まったけど、男所帯に女が一人紛れ込んで、いろいろな意味で大丈夫なのかと偉いおじさん達に言われてきたりもしました」
会場の空気が少しざわつく。
目を凝らして舞台袖にいる副社長を見ると『お前ここでその話するのか』と言いたそうな顔をしていた。
散々話しあった事だし、これくらい言っといても問題ないんじゃないかな。
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作者名:せの | 作成日時:2019年8月22日 10時